20年以上にわたり海岸漂着ごみを研究している防衛大学名誉教授の山口晴幸さん(70/金沢区能見台通在住)は、2年かけて関東沿岸54ヶ所の海岸でマイクロプラスチックの実態を調査した。その結果、1m四方に500個以上を検出した海岸が9か所。うち、最多は金沢区の野島海岸南側だった。
マイクロプラスチックは漂着ゴミが波風や紫外線などで劣化・破砕して5mm以下に細片化されたもの。近年、新たな海洋汚染因子として国際的に問題視されている。
山口さんは2016年6月から18年6月まで、相模湾沿岸から東京湾沿岸、南外房沿岸にいたる関東海岸域を独力で調査。神奈川県37、東京都2、千葉県15の海岸を対象とした。
調査方法は、各海岸で1平方メートルの調査枠を設定し、木くずや海藻類を大まかに除去。大きな廃プラスチック破片を分けた後、砂浜の深さ2cm程度の表層部分をかき集めて5mmのふるいに通す。通過物を水に入れ、浮遊した物質を回収し天日乾燥した後、目視でピンセットでマイクロプラを抽出した。
各海岸で設定した1m四方の調査枠から検出したマイクロプラの総量は2万9852個。500個以上検出された海岸は、東京湾沿岸で4か所、相模湾沿岸で5か所だった。そのうち野島海岸南側は最も多く、1万2950個。一方、人工海岸である近隣の海の公園海岸は126個だった。
山口さんは「浦賀水道の出入り口周辺や流路沿いに検出量が多い海岸が散在していた。ごみが滞留しやすいのでは」と推測する。また92年にオープンした海の公園との違いについて言及。今でこそ、ビーチクリーンなどの清掃活動が活発になったが、70〜80年代に急増したプラスチックごみが、劣化・粉砕して細かくなり、堆積している可能性も高いという。
プラスチックは種類にもよるが、分解に約400年かかるといわれる。山口さんは「海洋に出たプラやマイクロプラの回収は実質不可能。プラを全部をやめる必要はないが、賢く利用して減らしていかないと」と警鐘を鳴らす。
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