久良岐能舞台の新館長として、伝統文化の普及に尽力する 黒岩 忠臣さん 東京都国立市在住 68歳
能を地域の文化に
○…厳かな雰囲気と文化の香り漂う久良岐能舞台。その2代目館長に、4月1日付けで就任した。「これまでは施設を知ってもらうことに重点を置いてきました。これからは施設だけでなく能や伝統芸能が、地域の方にとっての文化となるよう、自治会や小中学校、サークルなどとの協力をより進めていきたい」。静かな語り口の中にも、凛とした芯の強さが感じられる。
○…久良岐能舞台との関わりは、6年前。勤務する会社が施設指定管理者に選ばれ、担当となった。「それまでは能を観たことがありませんでした。施設も能の稽古をする人がいらっしゃるくらい。初年度に開いたワークショップでは必死に周知して、ようやく8人参加という状況でした」と、苦笑い。しかし、施設の成り立ちを独学で勉強しつつ、月1回以上のペースで能の公演に足を運んでの人脈づくりや、祭りなどを通じた地域との交流に地道に取り組み、今では、ワークショップで毎回キャンセル待ちが出るまでになった。
○…東京・大田区の地元でも有名な元武家の名門に生まれる。工作が大好きで、自分の分だけでなく友人からもラジオ作りを頼まれていた。中学高校では「友人に誘われ軽い気持ちで」体操部に所属。しかし、練習は厳しく、高校2年のときには利き腕を骨折して鉛筆が持てず、口頭でテストを受けたことも。「それでも辞めようとは思いませんでした。1度何かを始めると、決して途中で諦めない性格なんです」ときっぱり。東京理科大を卒業後、(株)東通に入社。国内外で放送局や劇場などのシステム作りに携わり、FM横浜開局時には、コンサルタントとして組織や技術の構築、放送免許申請なども担当した。
○…息子と娘は独立し、妻と2人暮らし。趣味は山登りと読書。ジャンルを問わず年100冊以上を読む。信条は『一生懸命やる』。その言葉通り、何事にも妥協しないその姿勢は、まさに現代の武士そのものだ。
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