区内振り込め詐欺 被害額が昨年超える 上半期で約5600万円
磯子区内で発生した振り込め詐欺の被害額が、2013年上半期だけで昨年の年間総額を超えた。詐欺の手口のほとんどは「オレオレ詐欺」で、その9割が「携帯電話と会社の書類、小切手の入ったかばんをなくした」という内容のもの。磯子警察署(吉田肇署長)では、被害を防ぐために注意と協力を呼びかけている。
13年上半期の振り込め詐欺の被害額は約5600万円。これは、12年同時期の被害額約2700万円の倍以上で、年間総額の約5400万円を既に超えている。発生件数は、今年6月末までで11件、昨年同時期は8件で、年間では16件だった。
件数に対し被害額が大幅に上回っている理由は、1件あたりの額が大きくなっているため。振り込め詐欺の被害額は、基本的に1件あたり500万円以下のものが多い。昨年までは区内でもこうした傾向が強く、利用していないインターネットのサイト料金を請求してくる「架空請求」の被害が多かった。しかし、今年はほとんどが「オレオレ詐欺」。4月には2500万円、5月には1000万円という高額な被害が続いた。
9割が同じ手口
区内で発生した「オレオレ詐欺」のうち、9割の内容が「携帯電話と会社の書類、小切手の入ったかばんをなくした」というもの。最初に「かばんをなくして警察(もしくは遺失物センターなど)に届け出た。連絡がいくかもしれない」という前兆電話がかかってくる。そして40〜50分後くらいに、警察、遺失物センターを名乗る者や、電話をかけてきた本人から連絡が来る。「なくなった小切手が決算に必要。なくしたことがばれたらクビになる」と危機感をあおり、「3時までに用意して欲しい」と金融機関まで急がせ、「自分は書類を作り直しているので後輩が代わりに取りに行く」と手渡しさせる。
前兆電話は、電話番号が変わったことなどの状況を信用させて「この人は騙せるか」の判断をしたり、2回目、3回目と続く電話の前置きになったりしている。複数人で様々な人物を演じる”劇場型”と呼ばれる手法や、振り込みでなく手渡しの手法も広がり、手口は年々複雑になってきている。このことが被害増加につながっている。
地域ぐるみで阻止を
磯子署では、被害を防ぐため、区内34の金融機関との連携を強めている。その成果もあり、4月と5月には銀行の窓口で振り込め詐欺の被害を食い止めた例もあった。また、生活安全課の職員が自治会や町内会の会合に出向いて手口の説明も行っている。「知り合いなどに具体的な手口を伝えてほしい」と話す。
振り込め詐欺の電話は、同じ日に同じ地区内の複数の世帯にかかってきていることも多い。生活安全課では、「前兆電話があったことがわかれば、金融機関と連絡を取ったりパトロールを強化したりすることができる。電話がかかってきたら通報してほしい」と、地域住民への協力を呼びかけている。
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