堀内さん、県マイスターに 厨房設備施工で初認定
神奈川県職業能力開発協会が各分野の熟練技能者を対象に認定する「ものづくりマイスター」に、岡村「美とんさくらい」の堀内強美(つよみ)さん(69)が認定され、「厨房設備施工」分野では第1号となった。
これは、若者のものづくり離れを食い止め、技術者を育成するために2013年から同協会が取り組んでいるもので、現在までに県内で109人が認定されている。若年技能者への指導などが期待されており、認定を受けるには、112の対象分野で一定以上の技能検定資格を有することや15年以上の実務経験があることなどが要件だ。
今回認定された分野「厨房設備施工」は、食器洗浄機やフライヤー、冷蔵庫など、飲食店にあるさまざまな厨房機器の設計から厨房全体のレイアウトまでが含まれる。堀内さんは「店の広さに対してどのくらいの厨房が使いやすいのか、それぞれの機器がどのような仕組みで動くのかなど、基本的なことから若者に伝えていきたい」と意気込む。
理想のとんかつを追求
堀内さんは宮崎県の高校で畜産を学んだ後に上京し、食肉加工技術を身につけて1969年に精肉店を開店。その翌年、岡村など現在市内3店舗を展開するとんかつ店「美とんさくらい」を開店し、店を営業しながら、厨房も独自に改善してきたという。
「どうしたらおいしいものが作れるか、効率が良くなるかを考えて少しずつ手を加えていった。長年の現場での経験が、自分にとっての一番の強みだね」と堀内さん。省エネにも気を配り、メーカーと協力して食器洗浄機などの厨房機器開発にも携わってきた。
そして「おいしいだけでなく、健康にも配慮したとんかつを」と試行錯誤を重ねる中で、油で揚げた後に余分な脂を落とす「釜焼き」という手法にたどり着き、専用の釜を独自に製作。09年には特許も取得した。
手抜きなく地道に
「手抜きしてうまい物は作れない」と堀内さん。「何度も諦めようと思ったが、『俺がやらなければ』という思いが勝った。継続は力だね」と話す。
今後はマイスターとして、若年技能者の他に中高生などの指導に当たることも。「学校の先生になってみたかったので楽しみ」と笑顔で意気込みを語った。
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