横浜市教育委員会はこのほど、弁当を持参できない市立中学校の生徒に、民間業者による温かい配達弁当を提供する案をまとめた。全国的に給食を導入する自治体が増える中、横浜市は「家庭弁当持参」を基本とする考えだ。
1食3〜4百円
市教委によると、弁当は、ご飯と汁物、4品以上のおかず、牛乳の献立で、栄養バランスが考慮された2種類のメニューから選べる。牛乳と汁物は単品での注文も可能。事前注文制で、業者に一括注文した弁当は保温コンテナで各校に配達される。価格は事前のアンケートを踏まえ、300〜400円を目指しており、公費負担に関しては今後検討していくという。導入時期は未定で、「早期に全校実施を目指す」としている。年内に最終的な結論を出す方針だ。
全国の公立中学校では約8割が完全給食を実施。神奈川県内でも全33市町村のうち半数を超える17自治体で完全給食を実施(2013年5月1日時点)、未実施の自治体でも導入に向けた動きが見られる。川崎市でも市内3カ所に給食センターを整備し、17年2月の実施を予定している。
横浜市でも共働き家庭などから給食を求める声があるが、市は「家庭弁当持参が基本」という横浜型を主張。市教委健康教育課は、「一人ひとりの状況に合わせられることや、自分で食べるものを選択する食育という点で、家庭弁当持参を基本とした」と強調した。
業者委託方式によるスクールランチ制度を推進してきた市議は、「財政状況や調理施設の建設用地の確保の面でも給食導入は難しい。各家庭で選択できるという点でも配達弁当は望ましい」と評価した。
市民団体は反発
中学校給食を実施していない横須賀市でも、来年度中に横浜市と同様、業者による配達弁当導入を目指している。今年1月と6月には試行事業として弁当事業者が400円の弁当を提供した。しかし、「事前予約の注文が面倒」などの声も多く、注文率は6・4%だった。その後も完全給食を求める声は続き、11月17日には市民団体から市議会に請願書と署名が提出されている。
中学校給食を求める市民団体「横浜学校給食をよくする会」の鈴木圭子代表委員は「育ち盛りの中学生には栄養バランスがとれた給食が必要で、やらない方がおかしい。ほかの自治体の例を見ても、配達弁当の普及には疑問を感じる」と話す。同会は12月下旬に市議会へ署名を提出する予定だ。
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