磯子区内の2015年の火災発生件数が23件と、過去20年で最少となったことが磯子消防署(青木哲郎署長)への取材でわかった。同署では減少の理由について、「各家庭での火災予防機器の普及」と「区民の防災意識の高さ」を挙げる。
区内の昨年の火災発生件数は23件。うち建物火災15件、車両火災とその他火災がそれぞれ4件だった。死者0人(前年3人)、負傷者3人(同8人)、焼損面積は337平方メートル(同235平方メートル)と、面積の拡大はあるが死者、負傷者は減少した。
市全体でも発生は750件と、前年に比べて200件減少。磯子区は18区中、2番目の少なさだった。
過去20年のうち最も火災が少なかったのは12年の27件。15年はそれを下回り、最少となった。
各家庭に予防機器普及
磯子署では減少の理由に住宅用火災警報器とSiセンサーコンロの普及を挙げる。住宅用火災警報器は煙や熱を感知すると警報音で住民に知らせ、火災からの逃げ遅れを防ぐもの。市内の昨年の設置率は86%で、同署では区内の普及をめざし、依頼のあった家庭で職員が設置を手伝う活動に取り組む。昨年は30件ほど訪問した。
同様に、過剰な過熱に反応して自動的に火が消えるSiセンサーコンロも「少しずつ普及が進んでいるのではないか」と分析する。同コンロは08年に設置が義務化され、市消防局でも普及を進めている。
同署予防課の奥条俊雄課長は、予防機器の成果と合わせ、地域特有の理由として「区民の防災意識の高さ」にも言及する。
ほかの区で発生の多い放火が区内では少なく「燃えやすいものを外に置かないことや地域の防犯パトロールが活発なことなど、放火の予防策が区民の生活に根づいている」と分析する。
7月で連続無火災5年目となる汐見台自治連合会の岡道子会長も住民の意識の高さを挙げ、「汐見台は集合住宅が多い。周りの世帯に迷惑をかけないようにと、一人ひとりの予防意識が高いのではないか」と話す。
訓練増加で情報拡散も
奥条課長は、今年度の各自治会町内会における防災訓練実施率の向上も「地域住民の予防意識の醸成に繋がっているのでは」と話す。今年度の実施率は先月末時点で77%と、昨年度の46%から大きく上昇。背景には予防課職員が各地区で研修会などを行い、企画のサポートを行ってきたことなどがある。訓練に消火や119番通報を盛り込む地区もあり、火災の知識も学んでいる。訓練時の消防職員の講評には、市内や区内の火災発生状況などを織り交ぜるという。「住民が集まる場で注意喚起できる。『昨年は着衣着火による死者が多かった』など、具体的に伝えることで参加者の関心も集められるのではないか」。
同署では、引き続き火災予防に向けた取り組みを進めていくという。
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