昔の白黒写真をイラストに描き起こし、思い出話とともにぬり絵としての楽しんでもらう―そのような取り組みを、岡村の平野いづみさん(59)が行っている。
平野さんが古い写真をもとにぬり絵用イラストを描くようになったのは、今年4月ごろ。「6年前から母がアルツハイマーになったんです。なにかいいリハビリはないかと考えていたとき、近所の人にぬり絵がいいと聞いて、始めました」。
最初に描き始めたのは、果物のイラスト。母親に手渡すと、嬉しそうに次から次へと塗っていったという。「ぬり絵を始める前は、服のボタンを留めることもおぼつかなかった母でしたが、どんどんいろいろなことができるようになって。ぬり絵で脳が活性化されたのか次第に記憶が戻って、昔の話をよく話すようになったんです」。
そこで、昔の家族写真などをイラストとして描き起こすようになった。「ぬり絵をしながら母が私に『これはお父ちゃんだね。これはお前かな』と話すようになって。家族で思い出話に花を咲かせながら、ぬり絵の時間を楽しみました」。
母供養の個展
母親は8月に93歳で息を引き取ったが、平野さんは今も写真のぬり絵イラストを描いている。12月19日から23日まで、杉田劇場で個展を開くことが決まったからだ。「兄から、ぬり絵がリハビリに役立つことや、写真ぬり絵を通じて家族の会話や交流が増えたことは、ほかの人にもきっと参考になると言われました。そしてなにより、母の供養にもなると」。
最近はその評判を聞いた人に頼まれて、写真イラストを描くこともあるという。代金は1枚千円。「本当は代金はいらないんですが、タダだと逆に頼みづらいと言われまして」。イラストの要望は、平野さんの携帯電話【携帯電話】080・3126・3749まで。
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