港南台在住の跡部輝彦(あとべてるひこ)さんが所属する「ユーラシアを歩く会」は昨春、14年間かけて会員約30人が2万Kmを交代で歩き継ぎ、ユーラシア大陸を徒歩で横断することに成功した。現在は最終地点の東京に向け進行中だ。
同会は東京都立大学(現・首都大学東京)ワンダーフォーゲル部OBが組織する団体。平成7年の同部創設40周年記念の会で、定年を迎えて時間にゆとりのできるOBが増えたこともあり、メンバーの1人が「学生時代の仲間とまたロマンを追ってみたい」と呼びかけ、結成したという。
同会の目的はユーラシア大陸の横断。約2万Kmにおよぶ道のりを徒歩で踏破しようという壮大な目標に、若き日に抱いた海外の山野を歩きたいという夢や未知の世界への好奇心を満たそうという想いをもつ約30人のOBが集まった。
この旅は全ルートを100から130Km毎に区切り、希望する区間を歩いてリレー方式でつなぐもの。会の創設時に定年前だった跡部さんは日本に残り、治安や社会情勢に関する徹底した情報収集をもとに行うルート作りにも携わった。時には現地から詳細な地図を取り寄せるなどして、安全面には十分考慮したという。
1回の滞在は約2週間。会員は65歳から75歳が中心だが、期間中は1日平均25Kmを稼ぐペースで歩き、8年9月にイギリスを出発した旅は17年に中国へ到達。昨春には韓国・釜山に到着し、ユーラシア大陸の全区間を制覇した。現在は福岡から最終目的地である都内の旧都立大学キャンパスに向けて歩みを進めている。
会社員時代に仕事で旧ソ連に関わっていたこともある跡部さんは、その経験による知識や語学力を活かし、トルクメニスタン、カザフスタンなど旧ソ連圏の中央アジア区間を中心に参加。計5カ国で800Km以上を歩いた。
途中、アゼルバイジャンでは空き巣を生業とする人が住む集落近くで追い剥ぎに襲われかけたこともあったが、旅を通じて印象深かったのは人々の素朴さ。どの国でも「バスに乗る金がないなら送ってやる」と声をかけられ、飲食店の場所を尋ねると、「知り合いが近くにいるから」と食事に招かれたことも。「世界には極めて平和な人が多かった」という跡部さんは、「人間は本質的に”善”だと思う」と語る。世界を自分の足で歩いたからこその実感だ。
同会では1月10日(祝)、国立オリンピック記念青少年総合センターで「ユーラシアはひとつ。15年間、歩き続けて実感!!」と題した講演会を開催する。詳細は【電話】042・573・7667、シルクロード雑学大学まで。また、旅の様子をまとめたエッセイ集も販売している。問い合わせは【メール】terry@atobe.comまで。
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