「地域で新たなつながりを」 大貫区長に聞く今年の港南区
本紙は大貫一幸港南区長に対し、昨年1年間の振り返りや今年の区政について話を聞いた。大貫区長は素案として策定したばかりの地域福祉保健計画にふれながら、地域の”つながり”に重点を置いて区政運営を進める方針を語った。(聞き手/本紙・港南区編集室編集長 佐藤信彦)
標語で活動を応援
――まずは昨年の区政の振り返りをお願いします。
昨年、港南区は地域で活動している区民の皆さんと一緒に「地域の力と地域支援でつくる、誰もが安心して暮らせるまち」を目指した取り組みを進めてまいりました。
さらに、一昨年の区制40周年時の地域活動の盛り上がりを引き継ごうと、昨年5月に港南区地域活動応援標語(キャッチフレーズ)「明るく元気 ひまわりこうなん」を決定しました。7月にはロゴマークも策定しましたが、キャッチフレーズには102点ものご応募をいただきました。皆さんご存知のように、港南区の花はひまわり。ひまわりの花が太陽に向かって力強く育っていくように、元気いっぱいの地域活動を応援し続けたいと思っています。イベントなどで広くお使いいただけるとうれしいです。
また、緊急の課題である保育所待機児童の解消に向けた取り組みも進めてきました。昨年10月の港南区の待機児童数は166名であり、今後も入所申込件数が増加すると推測されます。そのため、保育所の新規整備のほか、既存保育所の協力による受入枠の拡大(定員外入所)、横浜保育室の整備、幼稚園預かり保育の拡大を行ってきたところです。その結果、今年4月入所分として前年比較で200名分の受入枠を拡大できる見込みです。
一方、区役所の基幹業務とも言える戸籍、保険年金、税、福祉保健、道路や公園整備、区民利用施設などについてですが、職員一同、常に区民の皆さんの目線に立ち、親切、丁寧で分かりやすい応対など、満足していただけるような行政サービスを心がけてきました。
特に窓口応対については、外部の専門機関から高い評価をいただきました。これは職場ごとに区民サービス向上の目標を定め、笑顔での接客や相手の年齢に応じた説明を心がけるなど、接客マナーの向上に努めたことも一因だと思います。
地域福祉保健計画
――昨年12月に第2期港南区地域福祉保健計画の素案が発表されました。計画について教えてください。
港南区では平成18年度に「ふだんのくらしをしあわせに」を合言葉にして22年度までの5年計画をつくり、区民の皆さんと力を合わせて地域活動を展開してきました。併せて区内15地区では、地区内で広く取り組まれている日常の福祉保健活動や課題を、住民同士が共有するために、地区別の福祉保健計画を作っており、すでに12地区で策定を終え、残る3地区も間もなく計画がまとまる段階にきています。
この度の第2期計画策定は、これら地区別計画を応援する区全体の計画になります。昨年末に発表した区計画の素案は、区内の福祉保健活動団体や事業者の皆さんとともに策定しました。今後は様々な活動をされている区民の皆さんからのご意見やご提案を1月20日までにいただいたうえで、3月中には確定させたいと思っています。
合言葉は「明るく元気 ひまわりこうなん」
つながりづくりが課題
――港南区の課題についてどのようにお考えですか。
つながりや支え合える関 係をいかにして増やしていくかが、地域づくりの大きな課題と考えています。これは横浜市内ほぼ共通して言えることですが、一人暮らし高齢者や高齢者夫婦世 帯の増加、子育て世代の孤立、価値観の多様化・複雑化など、社会状況が大きく変化していく中で、支援を要する人が増えています。それに対応するため、公的 サービスや民間サービスも充実してきていますが、それだけではすべてのニーズに応えていくことはできません。地域生活の安全安心を築いていくためには、公 的施策とともに、身近な地域でみんなが力を合わせていくことが大切です。
横浜市が策定した中期4か年計画では”つながり”という言葉を キーワードにしています。また、先ほどお話しした港南区地域福祉保健計画では、「一人ひとりがつながり、お互いに支えあえるまちをつくる」ことを目標とし ています。つながりには、人と人のつながり、活動と活動のつながり、地域と地域のつながりなど、いろいろあると思いますが、そのつながりをいかにして増や していくか。このことを区民の皆さんとともに取り組んでまいりたいと考えています。
区役所は地域の把握を
――地域のつながりを広げていくための方策はあるのか、教えてください。
21年4月に区長となってから、地域活動の場にお邪魔させていただきましたが、地域では地域連帯、福祉・保健、防災・防犯、環境、子育て支援など様々な分 野の活動が行われています。こうした活動の原動力は、活動をしている皆さんの思いであり、ともに活動する方たちを結ぶつながりなのだと参加する度に感じま した。その思いとつながりを大事にし、活かしていくことが、つながりを広げていくために最も大切なことだと思っています。
しかしなが ら、一方では自治会町内会役員、各種委嘱委員など地域活動の担い手が少ないという課題があり、その担い手を増やしていくことが求められています。地域で活 動していただく方を増やすためには、区役所も、活動している方々の声に耳を傾け、何が望まれているのか、どのような課題があるのかを把握した上で、それら に対応した取り組みを行っていくことが大切だと思っています。例えば、自治会町内会の新任役員などが安心して役割を引き受けられるような実務者講習会や補 助金申請の相談会、災害時要援護者対策に向けた個別相談などです。また、15地区連合自治会町内会ごとに課長、係長の2名を地区担当として配置し、毎月の 地区定例会に参加したりして、地域と区政・市政とのつなぎ役を担う取り組みも進めています。
さらに、活動している方々がお互いの活動内容を発表したり、課題解決に向けた意見交換をしたりする場を設けるなど、活動のつながりができる場をつくっていくことも大切と考えています。各イベントで地域の活動紹介パネルを展示することもその一例です。
楽しみながら活動を
――区の課題を踏まえて、今年はどんなことに取り組んでいくのですか。
今年は第2期港南区地域福祉保健計画のスタートの年として具体的に実行していく1年になります。
計画全体では福祉保健活動を広い概念でとらえており、高齢者や障害児・者等の生活を支えることだけではなく、人と人とのつながりが生まれるお祭り、運動会 のほか、趣味やサークル活動なども福祉保健活動になると考えています。したがって、この計画の主役は区民の皆さんです。皆さんが楽しみながら地域活動をで きるよう工夫したり、応援したりするとともに、地域や世代、分野を超えたつながりづくりに、一緒に取り組みたいと思っています。
特に地 区別計画は、基本的に、その地区にお住まいの方すべてが対象となります。例えば、災害時の要援護者対策では、援助の必要性の有無や避難場所の周知などは、 地区の全世帯に行うことも必要になってきます。この地区別計画を機に、住民同士の新たな「お互いさまのつながり」ができ、地域活動もさらに進むのではと期 待をしています。
初めの一歩が大切
――区民に向けてのメッセージをお願いします。
港南 区をつくっているのは区民の皆さん一人ひとりです。つながりづくりは初めの一歩が大切。できるところから少しずつ始めてみていただければと思います。それ が明日の港南区の力になります。「明るく元気 ひまわりこうなん」を合言葉に、みんなで力を合わせて、港南区を暮らしやすいまちにしていきましょう。
「区民が主役」と地域福祉保健計画を説明
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