横浜市 津波対策へ本腰 湾岸6区に無線スピーカー
横浜市は東日本大震災の発生を受け、津波からの避難を呼びかけることを目的とした「津波警報システム」の整備に取り組む。無線スピーカーを平成23年度に湾岸6区10カ所、24年度に90カ所を計画し、計100カ所を整備予定。市としては初の取り組みとなる。
この整備は東日本大震災で発生した津波の高さが、市が想定する「1m未満」を超えたことを受けて、実施するもの。
市では「市地域防災計画」の中で「東海地震」をモデルとし、予想津波高を約1m、満潮時で約1・9mとしていた。だが、過去には東海地震を上回る規模の「元禄型関東地震」も発生している。神奈川県の地震被害想定調査では、その震度を6から7(当時)とし、予想津波高は約2・1m、満潮時で約3mと想定。市はこれを受け”元禄型”を新たな想定モデルとした。
これをもとに浸水被害が想定されるのは鶴見、神奈川、西、中、磯子、金沢の6区。今回は”想定外”をなくすことを狙いとし、同6区に無線スピーカーを活用した津波警報システムの整備を進めることとなった。
リアルタイムに情報伝達
市は沿岸部にこれまでスピーカーを設置したことは無く、被災時の避難勧告・指示の情報伝達手段としては、市や区の広報車を活用することなどが考えられていた。だが、現場へ向かうまでに時間がかかるなど、迅速性に課題があったという。今回導入するシステムでは、気象庁から津波警報が出たと同時に音声でアナウンス。課題となっていたタイムラグは解消され、いち早く湾岸部にいる人に情報を伝えることが可能となる。
無線スピーカーは23年度中に10カ所設置する。設置場所は、観光客など人が多く集まる「臨港パーク」や「山下公園」「海の公園」など6カ所。また、住宅地区に4カ所を予定している。導入する無線スピーカーは、高さが約14m、伝達半径は約300mをカバー。有事への備えも考慮し、太陽光パネルや蓄電池が備わるものになる。
同システムが導入されるみなとみらい地区は多くの人が訪れる人気エリア。その中では「耳の不自由な人への対応、また外国人観光客への対応も必要となるのでは」という声も聞かれる。市担当課は「聴覚障害者にはライトを使った警報、外国人に対しては世界共通語の”ツナミ”という言葉を強調して伝えるなど、今後は様々な工夫を検討していきたい」と話している。
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