総合葬祭式場「サバスホール」を運営する(株)清水康益社の清水鐵夫代表取締役が12月1日、宮城県石巻市を訪問し、個人で所有していたクルーザー(6人乗り・全長5・4m)1艘を地元集落に無償で寄贈した。
妻・孝子さんの名前から一字をとり命名されたクルーザー「孝丸」。清水さんがレジャー目的に愛用していたもので、仲間を招待しては江ノ島周辺でクルージングを楽しんでいたという。
しかし東日本大震災発生後、被災により漁船が不足していることを知ると、「自分の船を役立てられないか」と考えるように。数カ月前から提供手段を検討していたところ、知人を介して石巻市でタクシー会社を経営する川田靖夫さんを紹介されたという。
川田さんの長女・由美さんの嫁いだ市内小網倉浜は、約30軒のうち9割が漁業で生計を立てる小さな集落。津波により壊滅的被害を受けた上、岸壁が1m以上も沈下したり海底に瓦礫が堆積しているために大型の漁船は接岸できなくなり、現在は沖合い約300mに停泊して、そこから無事に残った数少ない小船に乗り換えて漁獲物を運ぶ困難な状況が続く。そこで川田さんが、「岸と沖合いを行き来するために、集落共用で使えるものがもっとあれば」と、船を希望していたという。
ボロボロの日章旗
集落から漁師やその家族など約20人が集まった当日。紅白の餅や赤飯などがふるまわれる歓迎ムードで、清水さんが費用を負担して陸路で運ばれた孝丸の進水式では、船首に山から切った竹に日章旗が掲げられた。「本来は大漁旗なんだけど、すべて津波で流された。唯一見つかった日章旗はボロボロだったけれど、漁師連中の感謝の気持ちの表れ」と川田さんは語り、「まったく見ず知らずのところから生まれる縁が、本当の絆。元通りになるのは10年、20年先になるかもしれないけれど、頑張ることが恩返し」と話していた。
一方、清水さんは集落を出発した後、車を併走するように日章旗をなびかせて海を進む孝丸を目にして感動したといい、「小網倉浜は重油の匂いが立ち込め、復興には程遠い状況だった。少しでも漁師の方に喜んでもらえたなら良かった」と感慨深げに話していた。
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