横浜市立中 学 校 昼食のあり方を模索 民間業者の弁当を試行
横浜市立中学校(147校)は学校給食(※)を実施せず、家庭からの弁当持参を基本としている。一方、弁当を持参できない中学生もいることから、市は、より望ましい学校昼食のあり方を検討。2012年度に栄養バランスのとれた民間業者の弁当を中学生に提供するなど複数の方式をモデル的に試行する。
文部科学省の統計調査(09年)によると、公立中学校での学校給食実施率(完全給食)は全国平均81・6%。神奈川県は16・1%で、平均を大幅に下回る。中でも横浜市は県内で唯一、ミルク給食を含むすべての給食を行っていない。
一方、「お弁当を毎日作るのは大変」など、保護者から給食実施の要望は根強いが、市では「給食導入は財政的な問題や空き教室・敷地の確保などの問題もあり、現時点では考えていない」としている。
しかしながら、市も給食ではない「横浜方式の昼食」の検討を始めた。林文子市長も2月の予算代表質疑で、家庭から弁当を持参できない生徒がいることにふれ、食育や子育て支援の観点から検討すると答弁。今夏までにモデル校を複数選定し、栄養バランスのとれた民間業者の弁当などの方式を試す予定だ。
忙しくて作れない
市は昨年12月、家庭からの弁当持参状況や弁当昼食の課題を見つけるため、教員・中学生・保護者ら約5000人を対象に「中学校の昼食に関するアンケート調査」を実施した。このアンケートは、中学校昼食のあり方について検討する基礎資料となるもので、質問内容は「家庭弁当の課題だと思うこと」「中学生の望ましい昼食のあり方」など多岐に渡る。
3月の予算特別委員会で報告されたアンケートの速報値では、8割以上の中学生が家で作った弁当を毎日持参している状況ながら、「持参しない日がある」と回答した中学生に理由を聞くと7割が「保護者が仕事や家庭の事情などで、家庭弁当を作る時間がない」と答えたという。
「中学校昼食」のあり方は、県内の他自治体でも見直されている。厚木市(中学校数13)では07年度から、完全給食を実施。北部と南部にある2カ所の給食センターで公立小を含む全36校分を作っている。
横浜市は「(市でのセンター方式による給食導入は)温かい給食の配送など交通状況の問題もある。家庭の弁当を中心としながら、様々なケースに対応できるように、今の横浜に合った”学校昼食”を充実させたい」としている。
※学校給食…学校給食法により、給食内容にパンまたは米飯、ミルク、おかずがあるものは「完全給食」。それ以外の給食で、ミルクとおかずがあるものは「捕食給食」、ミルクのみのものは「ミルク給食」とされている。
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