日野小学校の創立140年記念実行委員長 高梨 徳さん 日野在住 65歳
相客の精神活かす
○…「ほっぺをつねられた痛みを覚えてる」。日野小学校に通っていた当時、しかられた記憶。子どもの頃の日野や港南台は野山などの自然にあふれていた。川では掻い堀りをしてうなぎや魚を捕まえ、夜になると祖父に連れられて田んぼでどじょうを捕まえた。元13代PTA会長であり、今回創立140年の記念式典で実行委員長を務める。
○…1873年に創立し、区内で一番の歴史を誇る日野小。区内ではじめてプールを設置した際は「リヤカーを引いて廃品回収して資金の一部にした」と振り返る。地域の大人が子どものためにと協力する伝統は昔から。現在活発に活動するおやじの会などを挙げ「子どもとそれだけ関われるのは良いこと」。子どもの卒業後も積極的に在校生と関わる保護者の姿に、昔と変わらぬ関係だと目を細める。
○…「苦労こそ思い出深くなる」と、思い出すのは人生の転機。家業の鉄工所作業を手伝い始めたのは高校3年生の頃、急性肝炎を患って大学受験を断念したことがきっかけだった。しかし20歳となっても学業への思いはまだ熱く、市が新成人を対象に募集していた作文コンテストに応募。友人の多くが大学に行った中で「自分が評価されるか知りたかった」。結果「一生懸命やる尊さ」という題の作文が佳作に入賞。しかし、表彰を成人式で受けることを忘れていて表彰を受け損ねた。「間が抜けてる」と苦笑いで青春を振り返る。
○…茶道を始めて約30年。休みなく仕事をする中で「仕事と違う空間を持ちたい」と始めた。今では日常的にお茶を楽しみ、来客に振る舞うのも抹茶だ。どんなに忙しい時でも穏やかな気持ちでいられるように「修行している」と今でも稽古に通う。根底にあるのは千利休が説いた他者をもてなす茶道の教え、「相客」の精神。式典のあいさつなど「不慣れで心配」と話すが、「相手を思ってお迎えする、これが一番肝心」。もてなしの心で臨む。
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