横浜市 要援護者名簿 原則提供へ 拒否者除き、有事に活用
災害時に自力避難が困難な「要援護者」と地域の防災組織の関係づくりを後押ししようと、横浜市は一人暮らしの高齢者や障害者の個人情報を自治会町内会などに提供する、新たな仕組みを打ち出した。来年中の運用開始を目指し、各団体との協議や条例改正に向けた手続きを進める方針だ。
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要援護者の個人情報を自治会等に提供するための意思確認として、港南区ではこれまで、防災体制を周知し、自ら要援護者名簿への登録に手を上げてもらう「手上げ方式」と、個人情報の提供について同意を得た対象者のみ名簿に反映する「同意方式」、地区内の5軒から10軒程度でグループを編成し、平時からこのグループ内で情報共有を行う「向こう三軒両隣方式」を採用。各地区にあった方式を選んでもらっている。
政令市では初の導入を目指す「情報共有方式」は、名簿登録を対象者に事前通知し、拒否した人を除いて個人情報を提供するというもの。対象者への意思確認に受け身だった従来方式に比べて、より能動的な支援体制につながることが期待されている。
新方式について市健康福祉局では「同意の返信がない人や、妊娠中や育児中の人など市で把握しきれていない層をカバーするための選択肢になり得る」と見込む。同様の方式を運用する東京都中野区では、約1割の拒否率にとどまるという。
今年4月に行われた市の調査によると、市内の自治会町内会2873団体のうち、独自の取り組みを含むいずれかの方式を導入しているのは、約63%に当たる1815団体という。同局では100%の導入を目標とし、「自治会の高齢化や担い手不足など課題はあるが、新方式が顔の見える関係づくりのきっかけになれば」と期待を込める。
対象になる要援護者は約13万人とされ、要介護3以上や認知症の人、独居高齢者、身体・知的障害者など。提供する個人情報は氏名と住所、年齢、性別の予定で、連合自治会や民生委員、マンション管理組合なども情報提供先の対象になる。
10月に行われた市民向け意見募集の結果を踏まえ、市は市震災対策条例の改正案を来年2月の市会に提出する予定。各区役所が自治会等への周知、協議を経て運用開始する想定だ。
同局では「団地や一戸建てなど、地域特性はさまざま。それぞれの土地に合ったやり方を模索していく」としている。
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