区が新防災ガイドを策定 集合住宅が対象
港南区役所はこの度、大震災に備えることを目的に集合住宅向け防災ガイドを作成した。これは3階建て以上の住宅に住む区民を対象としたもので、大地震を想定して自主防災組織づくり等の災害対策を掲載している。
防災ガイドは区民向けに不定期発行しているもの。前回は2011年に東日本大震災発生を受けて、地域防災拠点を記したマップ、家屋の震災対策、備蓄の例を記した防災ガイドが配布された。
新防災ガイドはA4版のリーフレット。2010年国勢調査によると区内の8万9030戸の住居の内、3階建て以上の集合住宅が4万81戸と約半数を占めることから集合住宅向けに発行したもの。4月中に3階建て以上の集合住宅に住む区民に配布する予定だ。
作成にあたっては集合住宅に会員を抱える12自治会町内会とマンション管理組合が意見を出し合うワーキングメンバーとして参加。東日本大震災当時の課題点などを盛り込んで策定した。
新防災ガイドによると、集合住宅では多くの人が同じ建物内で生活を送っており、災害時には共助が重要になるとしている。区は緊急時に対応するためにあらかじめ住民同士でどんな協力体制をつくるのかなどの話し合いを行うことや、定期的な防災訓練の実施、災害時のマニュアル作成、日頃の近所付き合いを行う必要性を指摘している。
また、集合住宅が抱える震災時の危険性について、高層階では揺れの影響が大きくなり、家具の移動や転倒といった危険の増加が考えられる。更に停電や断水となった場合はエレベーターが使えない状況となり、飲料水や食料物資などを階段で運ぶ必要が出てくることから、備蓄やエレベーター停止時の対策などを呼びかけている。
災害対策の課題点
ワーキングメンバーらが東日本大震災時に体験した課題点として挙げた中で最も多かったのはガスの復旧方法と安否確認の不安。
身近な製品であるガス機器だが、緊急停止した際の扱いについては知らない人が多く、震災時には混乱を招いた。ガイドにはガスの復旧方法についてすべてのガス器具を止め、ガスメーターの復帰ボタンを押して3分待つと使用が可能となるなど、手順が掲載されている。身の回りのガス機器、家電等の緊急時の取扱いについては説明書を日頃から確認しておく必要がある。
安否確認は普段から近所付き合いがなく、表に出てこない近隣住民と連絡が取れないことが問題となった。これについては日頃の声掛け等の見守り、地道な近所づきあい等が対応策として考えられている。
区担当者は「一番大事なのは自宅の備えと隣近所の助け合い」と話し、防災対策について繰り返し情報発信していきたいとしていた。
区内では東日本大震災時に既に自主防災組織を設けていた地域もあったが、区担当者は「先の震災時には組織づくりをしていても、担当者が災害時に仕事で遠方にいるなどの理由で、不在のため対応できないことがあった。その場にいる人だけで対応できるシステム作りが必要」と教訓を踏まえて話していた。
新たな自主防災組織立ち上げの相談については区役所総務課で随時相談を受け付けている。
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