芹が谷にある「ひばりが丘学園」に勤務し、第21回神奈川県介護賞を受賞した 佐藤 まゆみさん 横須賀市在住 54歳
子どもたちに愛情を
○…知的障害児が生活するひばりが丘学園で、6歳から中学2年生までが住む「2寮」の生活支援員を務める。「子どもたちを朝起こして顔を洗い、おむつや着替え、食事をさせて学校に送り出すまで」。発達年齢は実年齢よりも幼く、学園の朝の一幕は戦場のようだ。家庭でいう母親の役割を担い、子どもを24時間見守る仕事だが、土日もなく夜勤を含む3交代制の生活。そんな子どもに対する長年の直接支援業務が評価され、この度、介護賞を受賞した。
○…横浜市立大学を卒業後、県職員として福祉の道へ。進路を教員と迷い、また、大学で福祉を専門に学んだわけではなかったが、寝たきりの祖母を十数年にわたって介護する母の姿を見ていたためか、自然と選んだ道だった。入庁後は県下の知的障害児・者の施設一筋。ひばりが丘学園への赴任は6年前だ。「子どもはかわいいけど、たくましくてやんちゃ」と笑う。
○…「小さい頃に愛された経験がある人は、ずっとみんなに愛される。それは障害の重さじゃない」。持論を語る一方で、学園の子どもの中には虐待や複雑な家庭環境で受け入れられず、愛情に接してこなかった子どもも多い。「だからこそ、その分は、私たちが」という思いは強い。「子どもに対して『丸ごとのあなたがかわいいんだよ』と存在を丸ごと受け入れてあげてください。子どもはそれを敏感に感じ取って応えてくれます」。そう記者に語る言葉が、すべての思いを物語る。
○…自分たちは子どもの家族代わりにはなれても、本当の家族にはなれない。そんな葛藤が生じることも。だが、本来の「家」を知らない子どもにとって、学園こそが自分の「家」。子どもと接する職員はそれが分かっているから、少しでも安心できる場所にしたいと願う。しかし、学園は2017年に統合し、平塚市へと移転する計画だ。「せめて子どもたちが混乱しないように準備して、安心させてあげたい」。親心がのぞく。
|
|
<PR>
|
|
|
|
|
|