市立野庭中学校(樋野欣一校長/234人)で11月12日、長崎での原爆を体験した慶應義塾大学名誉教授の三浦冨美子さん(85)を招いての人権講演会が行われた。
野庭中では毎年11月に、人権教育の一環としてゲストを招いての講演会を開催している。今年は慶應大学名誉教授の三浦さんが招かれ、平和教育をテーマに講演。全校生徒に加え、近隣の野庭すずかけ小学校の5、6年生約80人も体育館に集まった。
きっかけは同校の人権教育を担当する早川有希教諭が見つけた日刊紙の記事。三浦さんが高校生に講演を行っていると知り、講演依頼をした。
三浦さんは兵庫県神戸市生まれ。1945年6月に神戸市は空襲を受けたため、父の働いていた長崎に移り住んだ。原爆はその約1カ月後、8月9日に長崎市を襲った。三浦さんは「ちょうど皆さんと同じころ、中学3年生のときに勉強をやめて軍需工場で働いていたときのことです」と静かに話を始め、当日の惨状を生徒たちに話した。
「忠君愛国、滅私奉公と言われ、天皇陛下に命を捧げるのは当然だと教えられた」と当時の教育を振り返り、「昔と違って今は何を勉強してもいい」「未来をつくるあなたたちは、過去に何があったかをちゃんと知らないといけない」と声を強める場面もみられた。三浦さんは「マスコミや政府の情報をそのまま信じないで、自分で考えることができるように勉強を頑張ってほしい」と訴えていた。
講演を聴き終えた伊澤諒太君(3年)は、「三浦さんの平和への思いの強さが伝わってきた。好きなことができる今を当たり前と思わず、責任をもって行動していきたい」、伊藤真君(3年)は「人の皮膚が溶けた話などは生々しく、目を背けたくなるけど、そういうことも僕らが語り継がないといけない」と感想を話した。
樋野校長は「戦争の語り部が少なくなり、家庭でも戦争体験者の話を聞く機会は少ないと思う。平和な社会をどう築いていくべきか考える機会になったのでは」と話した。
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