大貫区長インタビュー 「5年間の集大成に」 3月の退任前に抱負語る
本紙は2014年の港南区政について、大貫一幸港南区長にインタビューを行った。今年3月に定年を迎える大貫区長は震災対策や区民との協働などについて取り組みや成果を語ったほか、残る任期を大貫区政5年間の集大成としたいと思いを語った。
(聞き手/本紙・佐藤信彦)
――昨年を振り返ると。 「皆さまのご協力により、これまでの取り組みの成果が出てきた1年と感じています。まず15の地区連合で進めていただいている『協働の地域づくりの意見交換会』が定着し、地域の防災や支え合いの活動などについて情報交換や工夫の共有化が図れているなど、全地区でこれまで以上に充実してきております。
また、区役所内で取り組んだ『CS・ES推進(区民の皆さまの満足度と職員の仕事満足度向上)』についても、区役所の窓口にいらした方へのアンケート調査で『96%の方から、満足・やや満足』の評価を頂くなど、手前味噌ながら『親切・丁寧な区役所』に近づけていると感じております。
さらに、市の重点施策である保育所待機児童ゼロの達成のほか、新たに取り組んだウオーキングを中心とした健康づくり、横浜音祭りの一翼を担ったジャズフェスなども多くの方の協力で、楽しく、そして地域の魅力を高めるような形で進められたのではないかと感謝しているところです」
防災・減災の取り組みは
――震災後、防災訓練の実施状況と、いっとき避難場所の設置状況は。
「一昨年度は109、昨年度は170の自治会町内会が防災訓練を実施しましたが、今年度は区連会と『全自治会町内会での訓練実施といっとき避難場所の設置』を共通目標に取り組みを進めた結果、『全174自治会が地域防災拠点への訓練の参加など何らかの訓練を実施』という成果が得られています。また、166の自治会町内会がいっとき避難場所を設置できているなど、まちの防災体制は確実に強化されています」
――防災において、行政が考える「自助」「共助」「公助」の姿は。
「横浜市では、昨年、防災計画の震災対策編を全面改定し、公助の行動計画である『地震防災戦略』の策定と併せて、自助と共助の共通認識をまとめた『よこはま地震防災市民憲章』も制定しています。
ライフラインや建物の耐震化、災害時の医療体制の確保など、行政は公助の部分をしっかり進めていかなければならないことはもちろんですが、同時に、各家庭での備えや地域での助け合いの仕組みなどを充実し、地域の防災力全体を高くしていく必要があります。そして、この地域防災力は自治会町内会等の地域の皆さまと区役所等の地域行政機関が、役割を分担し、連携協力してこそ向上できるものと考えています」
――今後の防災・減災について、命を守るという前提と共に、復興を意識した取り組みや、より細かい部分の準備も増えてきました。
「元禄型関東地震などの被害想定が出ており、自宅に留まる在宅避難者が多いと予測されていることから、それらの方への情報提供などをどのようにするかは重要な課題です。在宅の方を繋ぐことができるのは、やはり自治会町内会ということになりますので、避難の際だけでなく、トランシーバー等で拠点と自治会町内会の連絡が円滑にできるようにしていく必要があると考えています。ペットについても家族同様に愛護されている方も多いという実情を踏まえれば、どのように同行避難ができるかを考えていかなければなりません」
――地域が「行政はパートナー」と感じている事に対し、行政はどのような姿勢で応えていきますか。
「本当にありがたいことで、地域の担い手の皆さまの期待に、しっかりと応えられるようにしていきたいと思っています。そのためには、思いを共有したり、一緒に課題を考えたりすることが必要と考え、自治会町内会の役員の皆さまなどと区の地区担当課長・係長が学び合う場として『学び舎ひまわり』を昨年9月に開講しました。一緒に学び合った皆さんに港南区の協働の取り組みをさらに進めていただけるものと大いに期待しているところです」
――区内には15の地区連合、15人の地区連合自治会町内会長がいますが、区長は16番目の会長として対等な立場で話し合いをするようになりました。
「私は15の地区連合に出向いていろいろなことを学ばせて頂き、横断的な状況もかなり把握できています。防災、支え合いなどの地域の取り組みについて、区全体の状況を見ての発言ができるように努めています。
区民の皆さんの価値観は多様です。また、地域により実情がある中で、地区連合自治会町内会長さんや地域活動のリーダーの皆さまは、大変な苦労と努力をされてそれぞれの取り組みを進められております。皆さまの思いを受け止め、それを区政運営に反映できるよう、率直な意見交換をさせていただいております」
多世代交流 区の特長
――港南区では各種ウオーキングイベントや音祭りなど、区民参加イベントが数多く開催されています。
「元気な地域づくりには、多くの人に、楽しみながら参加していただけるようなイベントが不可欠です。港南区では、区民の皆さんに様々な取り組みを主体的に進めていただいておりますが、川のクリーンアップへの大勢の小中学生の参加、こどもフォーラムや子どもゆめワールドでの小中学生の活躍など、区の関係する事業で、多世代交流も同時にできているのは、他の区等にはあまりない大きな特長と思っています」
区総合庁舎 本格着工
――14年に予定されている区内の大きな変化は。
「やはり一番大きいのは、区総合庁舎の16年春の完成に向けて本格的な建築工事に入ることです。来庁された皆さまへの快適性や利便性などの向上はもちろん、大震災などの際にもしっかり本部機能が果たせるようになります」
――来年度の区予算編成の基本的な考え方は。
「例年と変わらず、『つながり はぐくむ ふるさと港南』を目標に様々な事業や取り組みを進めます。
港南区では、区民の皆さまに防犯・防災や街の美化、子どものためのイベント、見守りなどの活動を活発に進めていただいています。区役所としても、地域や関係機関等との協働によるふるさと港南の地域づくりをさらに充実させていきたいと思います。あわせて、市民生活に最も身近な行政機関として、『共感と信頼の区役所』づくりを進めます」
協働でまちづくり
――大貫区長は今年3月末で定年を迎えられます。区長としての5年間を振り返りつつ、残る任期での思いは。また、今後の港南区の展望・希望をお聞かせください。
「5年前のタウンニュースの人物風土記で『現場主義を徹底するのも、区民による地域活動が港南区のまちづくりに欠かせないものだと思うがゆえ。”多くの方の努力で地域社会が形成されている”。区長となって、強く再認識している』と書いていただきました。
人がいて、人の繋がりがあって地域が形成されている。区役所は、自治会町内会の役員や行政からの委嘱委員さんたちと協力し合えれば、高齢社会の進展や財政難などの課題があっても、もっと地域づくりが進められる。また、役割を分担し協力して=協働して課題に取り組むということ自体がこれから一層重要になる。ありがたいことに、高森政雄区連会長をはじめ多くの地域リーダーは区役所をパートナーと考えて下さっている。皆さんの期待に応え、協働をしっかりと根付かせたい。そんな思いで区長としての仕事をしてきました。
昨年12月には港南公会堂で『大都市制度フォーラム』が開催されましたが、横浜市が目指す『特別自治市制度』でも『協働』がしっかりと位置付けられつつあります。3月にはこの1年の協働の取り組みを報告する『元気な地域づくりフォーラム』も開催されます。残された期間で5年間の集大成をし、次に引き継いでいきたいと思っています。
今、港南区は、地域と警察署、消防署、区役所等との連携協力が非常に良く、様々な課題に協働して取り組めていると思います。
超高齢化の更なる進展、大地震の心配などにも、これまでの取り組みをさらに充実させながら進めていくことで、着実な対処ができると確信しています」
――ありがとうございました。
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