「台所油田」活用でCO2削減 区内行事で廃食油回収
11月1日(土)に開催される「こうなん子どもゆめワールド」(会場/港南ふれあい公園)で、不要となった天ぷら油を回収して燃料に再生する取り組みが行われる。この活動によって当日会場で排出されるCO2を相殺(=※カーボンオフセット)するのが目的。主催者は、不要な天ぷら油を会場に持ってきてほしいと呼びかけている。
これは横浜市地球温暖化対策推進協議会(中原秀樹会長)が取り組む「台所油田プロジェクト」の1つ。個人、事業者、団体から177人の会員が所属する同団体は市と連携し、節電や省エネ、脱温暖化に向けた取り組みを実践している。
同プロジェクトは、台所で発生する廃食油をエネルギーとして再利用し、エネルギーの有効活用やCO2の排出削減、水質汚濁の防止を目指すもの。
ゆめワールドでは、使用済みや期限切れの天ぷら油(植物性のみ)を来場者から回収し、CO2排出量の少ない燃料として再生。一方、出展者が会場へ移動する際や使用するガスボンベ、発電機などから排出するCO2量を算出しておき、廃食油の活用で減らしたCO2量と当日排出するCO2量を相殺するのが狙いだ。
コスト低い再生燃料
同協議会の佐藤一子(かずこ)事務局長によると、スプーン1杯の廃食油を下水に流すと、何十倍もの水を流さなければ魚が住める水環境にならないという。加えて庭などに捨てれば土壌汚染にもつながると指摘する。また、廃食油を固体化して捨てても、焼却炉の火力を上げるためCO2を多く排出させてしまうと説明する。
処分方法が難しい廃食油だが、同協議会の会員でもある信愛エナジー合同会社(泉区)では超音波を用いる独自の技術で、廃食油を重油の代わりとなる燃料に再生することが可能だ。実際に県内にある農家のビニールハウスや養豚場などで使用されており、通常の重油に比べてコストが約15〜20%近く安くなると同社は説明している。エネルギーとして期待される廃食油だが、認知度の低さや家庭からの回収が困難なことが普及の壁になっている。
回収の継続目指す
港南区では昨年のゆめワールドでもカーボンオフセットを行ったが、廃食油を回収するのは初めて。区は「今回をきっかけに、来年以降も廃食油の回収を継続していきたい」と意欲的だ。
佐藤事務局長は「廃食油400リットルを回収することで、1tのCO2量を削減できると言われている。イベントで多くの廃食油が回収できれば」とした上で「台所はまさに都市の油田。行政と連携し、今後も継続して廃食油の回収を進めていく必要がある。会場に来られないという人も、まずは協議会に相談してほしい」と呼びかけている。
天ぷら油はペットボトルなどに溜めて会場へ持参を。問い合わせや相談は、同協議会【電話】045・681・9910まで。
※カーボンオフセット…日常生活や経済活動で排出されるCO2などの温室効果ガスの排出量削減努力を行うほか、排出量に見合った温室効果ガスの削減活動に投資などすることで、排出される温室効果ガスを埋め合わせるという考え方。
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