朗読講師として港南区内を中心に活動する 土屋 真澄さん 上永谷在住 77歳
「人間の命、語りたい」
○…朗読歴66年。現在、港南区内をはじめとした7つの朗読サークルの講師を務める中で、視覚障害者から高齢者まで読み聞かせを長年続けてきた。
○…東京都北区出身。読書と演劇が好きだったことから、5年生の時に学校の児童劇団で活動を開始。「思えばここが朗読との出合いだった」。大学卒業後は都内の日本語学校で教師に。結婚を機に23歳で仕事を辞めて多忙な育児生活に入るも、当時磯子区にあった「神奈川県ライトセンター」へ出向き、視覚障害者への読み聞かせボランティアを始めることに。この活動がきっかけとなり、地域ケアプラザや小学校などでの読み聞かせボランティアや、朗読講師の依頼も来るようになった。
○…毎年8月には「ひまわりの郷」で平和を祈る朗読劇「語りのひととき」を主催し、自身も講師として出演。「今年は終戦から70年。例年以上に力が入る」と意気込むのも、2歳半まで一緒に過ごした父親が、太平洋戦争勃発後にニューギニアへ動員され、戦死したからだ。遺骨も見つからず記憶も不鮮明だが、残された写真や戦地から送られてきた手紙から常に父の面影を探してきた。「ボランティア精神に溢れた人だったみたい。記憶は少ないけれど、きっと父のひざの上でその精神を叩きこまれたのだと思う」。亡き父の思いをつなぐため、その精神を自身の柱にして朗読を続けてきた。
○…朗読劇の台本を書くため、深夜まで本を読み漁り勉強することも。「朗読の根本は愛。身体と魂で人間の命を語るの。66年続けてきて、最近気が付いた」と、ふっと笑う。今年2月に体調を崩してからは活動を少し減らしたが、朗読はずっと続けるつもりだ。「夢や希望もあった父が、のたれ死んでしまった」とその無念さを慮る。「そんな人々の思いを生きている限り語り続けたい―」。幼少期からの一途な思いで、文字の背景にある魂を声にする。
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