横浜市は、2014年度に市内4カ所の児童相談所(児相)で新たに把握した児童虐待件数が、1072件(前年度マイナス87件)だったと発表し、4年ぶりに減少したことがわかった。一方で中央児相(南区)は、「それでも、まだ高い水準。区などとも連携しながら減少を維持できれば」としている。
市は、1993年から児童虐待の新規把握件数の調査を開始。2010年以降は右肩上がりで、一昨年度に1159件と初めて1千件を超えていた。
子育て相談などの窓口となる各区では、昨年1月から虐待対応調整チームを組織しており、「情報共有など連携を強化したことで防げた事案もある」と児相は背景を分析する。
通告件数は過去最多
市民や警察などの関係機関からの相談・通告件数は、昨年度4507件。これは07年の調査開始以来、過去最多を更新している。市は昨年11月に制定した「横浜市子供を虐待から守る条例」の中で市民らの役割も定めており、そうしたPR効果も、件数増加の背景にあるとみられている。
また児相によると、「泣き声が聞こえる」などといった、虐待と認定される前の段階での相談や通告も増加しているという。「案件を調査して、事態が深刻化する前に、育児支援など適切な未然防止策がとれた」と話す。
一方、2年連続で新規把握件数が1千件を超えたことについては、「計算では、1日2件以上新たに発生していることになる。依然として高い水準に変わりない。さらなる対策が必要だ」との認識を示した。
不安家庭への周知課題
「支援するサービスは増えているが、一人で悩み、その情報が届かない人たちもいる」と児相は周知を課題に挙げる。
そんな中、窓口で対応する鶴見区の担当者は、「自ら『虐待しそう』などと声を上げる人は少ない」と指摘する。「予防のためには保育所や学校とももっとつながったり、家庭の状況を把握するなど、早い段階で気づくことが大事」と連携の重要性を訴えていた。
児相は、相談・通告件数は今後も増えると予想しており、「不安な家庭をしっかりキャッチし、減少を維持したい」と話している。
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