港南区内の幼稚園に40年以上勤め、市幼稚園協会から永年勤続表彰を受けた 石井 幸子さん 金沢区在住 63歳
日々めくる「新たなページ」
○…短大卒業後の1972年、初任で上大岡幼稚園に勤めた。同園が閉園するまで28年間勤め上げ、安部幼稚園(芹が谷)を経て現在は港南台幼稚園で11年目を迎える。通算で42年。「”幼稚園に行きたくない”なんて日は、1日たりともなかった。毎日新しいページをめくる気分で、子どもたちに会うのが楽しみだから」。すっかり大人になった教え子も多く、その成長が時間の流れを感じさせる。
○…40年のうちに社会全体の価値観も多様化し、幼児教育も子どもたち1人ひとりの個性を伸ばす方向へと変わってきた。「成長のルートは1つだけじゃない。その子が今興味あることでいいから、達成感を味わうことの方が意味がある」。また幼児期は言葉を使い始めるころだが、「まだまだ言語表現の未熟な時期。赤ちゃんのころの様に、言葉以外の表情や体の動きで発信しているものを受け取らないと」。とはいえその作業は、「手探りで、細い糸を手繰り寄せるようなもの」。ベテランとなった今もその難しさを楽しむ日々だ。
○…金沢区出身。海や山が近くにある、自然豊かな環境に育った。2人の弟がいるが、近所の子どもは皆きょうだいのように遊んでいたと振り返る。薄暗くなるまで外で過ごしたり、雨の日には紙人形を作って遊んだり。「自分で工夫して遊んでいれば、将来も工夫して進んでいけるはず」。当時に比べて子どもを取り巻く環境は、衛生面で改善されてきた一方、「ちょっと守られすぎかな」と懸念もする。
○…「未来に向かう子どもたちには、いつもプラスの気持ちで接していたい」。気持ちの切り替えには自信がある。だが10年目のある時、園児が帰ってから片づけをしていると、机の上の無数の傷が目にとまった。「こんな風に、子どもを傷つけたりしていないだろうか」。不安を晴らしてくれたのは、1人の保護者の言葉だった。「仮にそうでも、その傷っていうのは後できっと良い思い出になりますよ」
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