障害者の福祉的就労の充実を目指して横浜市が中区に設置した「よこはま障害者共同受注総合センター」が、今年4月の開所から半年を迎えた。10月からは、企業・団体への働きかけを本格化させ、「障害者の仕事受注」の後押しを図る。
よこはま障害者共同受注総合センターは、障害者施設と企業・行政との間に入り、障害者の仕事受注拡大や工賃の向上などを目的に設置されたもの。
(社福)横浜市社会福祉協議会が運営し、4月1日に中区に開所した。現在、対象となる障害者施設約550カ所のうち、今年度の目標の130事業所を上回る178の事業所が登録。民間企業や行政から、製品販売やアンケート入力、封入作業など27件を受注している(9月11日時点)。
工賃、時間額175円
施設に通所する障害者の就労環境は厳しいのが現状だ。雇用契約を結ばずに授産活動を行う「就労継続支援B型事業所」の平均工賃は、厚生労働省による2013年度の全国調査によると月額1万4437円、時間額178円だが、同年度の神奈川県内平均工賃は月額1万3180円、時間額175円と全国平均を下回る。
県では17年度末までに、全国水準まで平均工賃の引き上げを目指しており、年々向上しているものの、施設側で販売活動まで手が回らず安定した仕事がないケースや、施設利用者の一定の作業を確保するため、安い工賃でも受注を引き受ける傾向もあり、障害者の自立や社会参加とは程遠い状況があるという。
販路拡大が課題
同センターはこうした現状を少しでも打開しようと設置された。開所半年が経過した10月からは、本格的に企業や団体への周知活動を進める方針だ。
具体的には社協のネットワークを活用したダイレクトメールや訪問、アンケート調査等を通して企業開拓を進める一方、通信販売等を行う既存の「ハートメイド」事業と連携し、自主製品の販路拡大を目指す。「まずは周知を高めたい」と、今年度は受注件数の目標値は定めず、企業のニーズと施設でできることを調整し、相互の理解を深めていきたい考えだ。
ただ、依頼は現状で中区や西区、神奈川区など市内東部が中心。遠距離の施設からは対応が難しいとの声も上がっている。青葉区の地域活動支援センター「田園工芸」の施設長は「できれば北部など、近隣で受けたい」と話す。
市の第3期障害者プランでは17年までに、登録施設での月額平均工賃を10%以上上昇させることを目標としている。市社協は「センターの活用を通して発注単価が上がり、工賃アップにつながれば」としている。
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