横浜市の「里親」への委託率が全国平均を下回っていることがこのほどわかった。市の児童人口は約59万人で、そのうち社会的養護の必要な児童数は約700人。市は、2015年3月末で12・7%の里親委託率を19年度末までに22%へ引き上げたい考え。
親の病気や死別、離婚、虐待などの事情によって家庭で生活することのできない子どもたちのための「里親制度」。里親には養育里親(養子縁組を前提としない里親)、縁組里親(将来的に養子縁組を行う里親)、親族里親、専門里親の4種類がある。里親への委託率を69都道府県市別(47都道府県+20指定都市+2中核市)にみると、1位が41・4%の新潟県で、最下位が6・1%の秋田県、全国平均は16・5%だった。横浜市は48位で全国的にみて低い水準となっている。市は子どもの健やかな成長のためにも里親への委託率を上げたい考えだ。
100組が待機状態
里親委託率が伸び悩む原因としては【1】制度が認知されていない【2】養子縁組が前提と思われている【3】里親への支援が不十分【4】里親と子どものマッチング【5】実親が里親委託を了承しない――などがある。市こども家庭課担当者によると「説明会などの相談で最も多いのが養子について」だという。
また現在、認定を受け登録されている里親は141組で、そのうち子どもを預かっている家庭は42組。約100組の里親が待機しているような状態だ。「子どもたちは状況もさまざま。委託期間や年齢、性別など、子どものニーズに応えられる多種多様な里親が必要」と担当者は話す。
区役所でも説明会
市では19年度末までに「里親委託率22%」を目標に掲げ、対策強化を始めた。まず昨年度から、今まで児童相談所でしか行っていなかった説明会を、区役所など場所を移して実施。同時に市内のイベント会場にブースを設けるなどして制度の普及啓発に努めている。
また制度を充実させるため、里親専任の児童福祉司を各相談所に配置、里親からの相談を受けられる体制を整えた。その他、家事ヘルパー派遣などの養育援助も行っている。市は「まずは制度を知ってもらうこと。その上で、責任を持って里親になっていただける家庭を増やしたい」としている。
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