育児と介護を同時に行う「ダブルケア」の状態にある人をサポートしようと、港南区内の主婦を中心とするグループが体験談や支援施設を紹介する冊子をまとめた。「同じように悩む人の助けになれれば。そのためにも広めていきたい」と活用を呼びかけている。
専門性より分かりやすさ
「冊子の情報はどれも真新しいものではないけど、ばらばらで不便だったものを『まとめた』ことに意味がある」。そう話すのは、「ダブルケアサポート横浜」のプロジェクトリーダーを務める植木美子さん(43・芹が谷在住)。自身も以前、子育てと義父母の介護というダブルケアを体験した。
完成した冊子「ハッピーケアノート」(オールカラーA5判32ページ)は、実際の事例やダブルケアを体験した人の声をもとに、頼りになる施設や子どもを急に預かってほしい時の相談先など、基本的な情報を集約している。またケアマネジャーの協力で架空のケアプランを作り、具体的な自己負担額を例示するなど、「聞きにくいけど知りたい、行政で手に入らない情報も盛り込んだ」という。
ダブルケア問題は、少子高齢化や晩産化が背景にあるとされる。内閣府が今年4月に発表した調査によると、40歳前後を中心とした約25万人が現在ダブルケアを行っているという。
子育てと介護は行政でも別部署の扱いのため、「どこで何を聞けばいいか、どんな支援制度があるのかが分かりにくかった」と植木さん。「専門的なものよりまず、ダブルケアの入口ですぐに役立つようなものが必要だと感じていた」
全国への展開も
植木さんは昨年、横浜国大の准教授の協力のもと、NPO法人「シャーロックホームズ」の理事長らとプロジェクトを立ち上げた。各地域でダブルケアの人に寄り添う人を増やすため、サポーターの「研修プログラム」と冊子を作ろうと活動を開始し、活動資金はインターネットを使って広く支援を募る「クラウドファンディング」で調達した。
夏の間に研修プログラムを練った後、民生委員などを対象にしたモニター講座を開催。寄せられた意見をもとに内容を洗練させ、それらを踏まえて年明けから冊子編集を開始した。プロジェクトは冊子完成で終了となるが、メンバーは全国的な普及を目指し、今夏には法人を立ち上げて活動を継続する予定だという。
冊子の注文は、ダブルケアサポート横浜事務局(【電話】045・324・5033、【メール】wcareyokohama@gmail.com)へ。1部300円(税別)で、450円で郵送にも対応している。
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