新型コロナ対策の外出自粛により児童虐待のリスクが懸念された今年4〜5月、市内の児童虐待相談受付件数が前年より減少した。休校などで学校や保育所からの相談が減少したためで、市は実態把握が困難な状況が続いたことによる虐待の潜在化を危惧している。
学校・保育所からの件数減
全国的に児童虐待の相談対応件数は年々増加しており、横浜市でも2019年度は全体で1万998件と前年度比1393件の増加となっている。そんな中で新型コロナ対策による臨時休校が始まった3月以降、虐待相談受付件数にも影響が出始めた。3月は前年とほぼ同数(4件増)だったが、4月(36件減)、5月(147件減)と前年より減少した。
減少したのは主に学校や保育所、医療機関からの相談。これらの機関は子どもの様子に異変があれば区役所や児童相談所に通告・相談する役割を担うが、休校などでその機会が失われ、ウイルス感染を懸念して医師の診察を避ける人も少なくなかったという。
また区役所での乳幼児健診や新生児訪問も実施できず、子どもや親子との接点が減少したことも件数減少に影響しているとみられる。
「再開だけで解決するわけでない」
NPO法人「神奈川子ども支援センターつなっぐ」の代表理事を務める飛田桂弁護士は「(件数減少は)虐待が家庭内に潜在化した可能性はある。社会とつながっていない時間が長かったことで子どもは酷い虐待も当たり前のことと受け入れてしまっているおそれがあり、学校再開で全てが解決するわけではない」と指摘する。
市こども青少年局こども家庭課の担当者も「はっきりとは分からないが、やはり一定の危惧はある」と話す。
休校期間中、子どもがずっと家にいることによるストレスで手をあげそうになったという保護者からの相談や、両親が共働きで低学年の子が1人で家にいるのをネグレクトではないかと心配する相談も行政にあった。
市担当者は「周囲から心配な場合は知らせてほしい。子育てなどご自身のお悩みがある人も相談してほしい」と呼びかけている。
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