放送を一時休止し、第一話からの再放送を開始したNHKの朝の連続テレビ小説「エール」。主人公のモデルとなった作曲家・古関裕而(1909〜89)は、日本歌謡史に残る名曲を数多く手がけたが、横浜市立大学の校歌も作曲していた。
横市大の校歌が制定されたのは1954年。西條八十(1892〜1970)が作詞した。
同校60年史の「校歌制作物語」によると、53年に校歌作成委員会が設置され同年12月、「横浜市大新聞」で大々的に校歌を募集したとある。だが1月の締切日までに集まった作品はわずか3点。締切の延期でようやく9点が集まったが、そのまま校歌に採用できる作品はなかった。
その後、応募作品を素材として当時の菊地豊三郎学長と交流のあった西條に作詞を依頼。西條の推薦で古関に依頼した。
作詞作曲料は6万円
55年4月発行の横浜市大新聞によると作詞作曲料は6万円で、うち1万円を自治会が負担した。当時の公務員初任給が8700円だったことから現在の価値に換算すると、130万円ほどという。古関の楽譜などは残っていないが、西條直筆の歌詞(コピー)=写真=は同校で所蔵する。
古関は福島県出身。高校野球の大会歌「栄冠は君に輝く」、東京五輪の行進曲「オリンピック・マーチ」の生みの親で、「君の名は」「モスラの歌」など、生涯5千曲あまりを作曲した。神奈川県にも古関の手がけた校歌・社歌は数多い。西條は「青い山脈」「蘇州夜曲」「王将」など無数のヒットを放った作詞家。
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