「野毛地区街づくり会」会長 神田 信男さん 中区野毛町在住 74歳
野毛にかつてのにぎわいを
○…「戦後の野毛は桜木町駅から続く何百もの露店の”闇市”が並び、それはそれは賑やかだったよ」。懐かしそうに昔を振り返る温和な笑顔が印象的だ。野毛や桜木町、日ノ出町などの町内会や商店街が一緒になって街づくりについて話し合う「野毛地区街づくり会」の会長を務める。「本当は会長なんて柄じゃない。活気ある街づくりには若い感性が大切。だからいつも若い人には『責任は我々年寄りが取るから、何でも挑戦してやってみなさい』とハッパをかけているよ」と白い歯を見せる。
○…同地区が「街の活性化のために」と1986年から始めた「野毛大道芸」は日本3大大道芸の一つに数えられるほどの看板行事に発展した。「東横線の廃線やMM地区の発展などで、野毛がだんだん元気がなくなってきた。でもこの地域には図書館や動物園、成田山やにぎわい座のほか、下町のような”来てほっとする”街の雰囲気や数百の飲食店など、誇るべき文化が沢山ある。これをもっとアピールしようと、大道芸などが始まった」。今年も4月23日、24日に開かれ、今回は東日本大震災の復興支援も兼ねて義援金の募金も行われる。
○…浅草で生まれ、戦後野毛に移り住む。「浅草と野毛は同じ”下町の匂い”がするから好き」。大学卒業後の翌年に父親が亡くなり、仏壇仏具を販売する(株)蓮華堂を引き継いだ。「あっという間の50年だった。商売で苦労はあったが、深刻に考えない性格なので憶えていない」と笑う。
○…実は多趣味で新し物好き。イタリアの大衆歌曲カンツォーネを歌ったり、最近はもっぱら「パソコンと格闘中」だとか。社長業以外にも自治会長や各種団体の代表も務め、丸々一日休みという日がほとんどない。「仕事も趣味も大事だが、野毛の街も大事だからしょうがない。ゆっくり趣味に没頭できるのはもう少し先かな」。街への情溢れる微笑だった。
|
|
|
|
|
|
|
<PR>