「インナーハーバー」と呼ばれる横浜港内港部や大岡川河口付近の水辺で、市民がシーカヤックなどの手漕ぎボートを気軽に楽しめる環境を整え、まちづくりや観光振興につなげようという取り組みが進んでいる。有識者らで作る団体がこのほど、航行のルール案をまとめ、17日にはシンポジウムも開催した。
インナーハーバーにおけるシーカヤックの「航行ガイド」を作成したのは、一般社団法人横浜水辺のまちづくり協議会(会長=來生新元横浜国大副学長)。同協議会は、横浜の水辺をシーカヤックなど手漕ぎボートで利用しやすい環境にすることで、まちづくりや観光振興を図ろうと、09年に発足した(10年に法人化)。
現在は有識者や市民団体、地元企業のメンバーら約70人が所属。過去2年間は、水辺利用に対する市民のニーズ調査や海外における先進事例の研究、また「水辺を楽しむことができる人材の育成」を掲げ、大学生を対象にしたシーカヤックの体験授業を行ってきた。
港湾利用のモデルに
インナーハーバーは波が少なく、初心者がシーカヤックを楽しむのに適している半面、水面に降りる場所が少ないことや、屋形船をはじめ様々な船舶が行き交い危険もあることから、現状はイベントの一環として実施される程度で市民の利用はほとんど進んでいない。
同協議会では「事故を防止し、利用を促進するには安全に航行するための指針が不可欠」として策定会議を20回にわたって開催。行政や船舶事業者などとも話し合いを進めてきた。
こうして今年2月、「航行ガイド」の最終報告案がまとまった。まずシーカヤックを楽しむモデルコースに、内港地区と大岡川河口から蒔田公園までを設定。「原則右側航行」「グループ時は船団として1〜2列縦隊」などの注意事項とともに「日本丸パークでは遊覧船に注意」など、安全面の留意点もまとめた。
17日には帆船日本丸財団訓練センターで、市民へのPRを目的にシンポジウムを開催。行政関係者や港湾事業者、専門家によるディスカッションが行われた。
同協議会では今後、ガイドの充実を図るともに、一般市民への周知を進め「事業者と利用者が共生する都市型港湾利用のモデルにしたい」としている。
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