没後11年目で初の作品集 博物画家・杉浦さん遺族が刊行
エビ、カニといった甲殻類や魚類の博物画で数々の傑作を遺した横浜市出身の画家・杉浦千里さん。39歳での急逝から11年を迎えた今年、遺族らの手によって初の作品集『美しきエビとカニの世界』が刊行された。
ウルトラマンのデザインも
杉浦千里さんは1962(昭和37)年、神奈川区に生まれた。幼い頃から絵の才能を発揮し、日本美術学校で学んだ後、フリーのイラストレーターとして活躍。特に円谷プロダクションの仕事を多く手掛け、2001(平成13)年放送の『ウルトラマンコスモス』では多くの怪獣をデザインし、ファンにその名を知られる存在となった。
そんな杉浦さんが生涯をかけて取り組んだのが、甲殻類や魚類の博物画だった。甲羅の突起の一つ一つまで描きこまれた精密さは、手で描かれたことがにわかには信じられないほど。時には一つの作品の制作に数カ月をかけることもあったという。
01(平成13)年11月、杉浦さんは39年の短い生涯を閉じる。母、美乃里さんのもとに遺された100点を超える作品も長く陽の目を見ることはなかった。
作品展が各地で話題
その後、美乃里さんらは「作品保存会」を結成。09(平成21)年には、「かなっくホール」で初の大規模な回顧展を開催し、大きな反響を呼んだ。その後は評判が評判を呼び、観音崎自然博物館(横須賀市)、東京都葛西臨海水族園などで次々と作品展を開催してきた。
そんな美乃里さんらにとって作品集の発刊は悲願といえるもの。『美しき-』は解説を日本甲殻類学会会長も務める朝倉彰さんが担当。代表作「ニシキエビ」をはじめ100点以上を収めたまさに集大成と言える一冊となった。作家の荒俣宏さんは発刊に寄せたメッセージで「自然の造形と配色にひそむ神秘と精密さとをただひとりで再現」と絶賛している。
定価は3465円、市内取り扱い店舗は有隣堂本店、紀伊国屋書店横浜店、あおい書店横浜店など。問い合わせは成山堂書店【電話】03・3357・5861へ。
読者プレゼント
読者3名様にプレゼント。希望者は住所、氏名、本紙の感想を明記のうえ、〒231-0033中区長者町2の5の14の2Fタウンニュース社「杉浦さん作品集」係へ。6月30日必着。
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