9月2日から三溪園で始まる、つるし雛展を主催する 大竹 仲子さん 中区新山下在住 80歳
老いない心で創作にまい進
○…端午や七夕、重陽など、日本の四季と生活に根付いた「五節句」をつるし雛で表現する「グランドマザー百人展 五節句の戯れ」を、三溪園の旧燈明寺本堂で開催する。「季節ごとに展示を工夫しています。園内の花々や文化財とともに、多くの人に楽しんでもらえたら」と笑顔を見せる。
○…福島県石川町の出身。生家は地域を代表する材木商で、旅館も営んでいた。着物が一般的だった時代に洋服着用の演奏会を自宅で開催するなど、モダンな家庭で育ったことで自然と服飾に関心を持った。地元の洋裁学校を卒業後、結婚を機に神奈川県へ。一男一女を育てながら、夫婦で燃料店を切り盛りした。子どもたちの洋服はほとんど手作り。長女の洋子さんは「遠足の朝になると鴨居に新しい洋服がかかっていて、まるで魔法のように思いました」と振り返る。
○…創作のきっかけは10年前、近所の手芸店でつるし雛を目にしたこと。幼い頃、姉の桃の節句の折に母親が紫の布で作った猿のつるし雛が心に蘇った。「実家にはもうないというので、それなら自分で作ってみようと」。以来、多産や健康など縁起に由来する形の面白さ、羽二重や江戸ちりめんといった素材となる古布の美しさに感動し「無我夢中で作り続けてきました」。長野県の世界の民族人形博物館で6年連続で作品が展示され、大手新聞社の1面を作品が飾るなど、作家としての評価を固めてきた。
○…5年前に中区内のカルチャーセンターで教室をスタート。様々な場所から依頼が舞い込み、今では市内9カ所14教室に100人を超える生徒を持つ。生徒の中心は60〜80代の女性。「教えるというより仲間という感じです」と、人生の辛苦を乗り越えてきた同志としてその思いに共鳴し、創作を通じた幸せを広げてきた。「80歳になって自分が得意なことを活かせる道を神様から頂けたことがうれしい」。その創作意欲はまだまだ衰えそうにない。
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