横浜市はこのほど、土砂災害警戒情報をもとに避難勧告を発令する市内対象区域の見直しを行い、52カ所の地域を発表した。西区では2カ所約42世帯が対象となり、中区は対象箇所がなかった。西区では対象地域へ周知を行い、災害への意識を高めてもらうように呼びかけている。
西区で今回、避難勧告の対象区域に指定されたのは西戸部町1丁目の一部と境之谷の一部の2カ所、約42世帯。
市は昨年10月、台風18号で2人の死者が出たことを受け、緊急対応として大雨などで人命に被害が出る恐れのある市内の崖地202カ所を指定。これらの崖地周辺は土砂災害警戒情報の発表と同時に避難勧告を発令することにした。
11月には市職員が目視による現地調査を行い、202カ所を133カ所に見直し。更に、今年1月から133カ所に加えて市内の土砂災害警戒区域内にある約9800カ所の崖地のうち、災害発生の確率が高い西、南、磯子の3区内にある約1400カ所を詳細に調査。地質専門家の調査を加えて精度を高め、大きな被害を与える可能性がある52カ所の地域を選定し、避難勧告対象区域とした。
今回の絞り込みにより、注意が必要な崖地は浮び上ったが、実際に避難勧告が発令された際、避難ルート、夜間時の対応方法など住民が適切な対応が取れるようにするには、なお、整備すべき課題も残る。
危険察知したら自身で判断も
西区は今回の発表を踏まえ、対象区域の各世帯に結果を伝える案内をポスティングで配布。西戸部町1丁目の崖地そばに住む女性は「状況がひどい場合には行政の指示に従って避難したい。崖の上に木があるので、一緒に崩れてきたら不安」と話した。
内閣府災害ボランティア活動検討会委員で国際救急法研究所の宇田川規夫理事長は、09年に兵庫県佐用町で用水路が溢れ、夜間に避難した住民が流されて死者18人、行方不明者2人を出した水害を振り返り「このケースでは住民の半数が警報を聞けておらず、夜間のために自宅にとどまった人もいる。行政情報を参考に自身で避難のタイミングを計る必要もある」と語る。
西区の災害対策の担当者も「まずは対象地域に含まれていることを知ってほしい」と呼びかけつつ、「勧告が発令された際は職員が個別訪問し、消防団と連携して避難所へ避難を呼びかけますが、危険を察知した場合には避難勧告の発令を待たずに、直ちに避難行動を開始してほしい」と話す。
横浜市はハザードマップを全戸配布するなどして啓発に力を入れるほか、17年度までに全区の更新作業を行う予定。市担当者は「対象の52カ所以外は安全ということではない。気象状況により勧告を出すので、情報に留意してほしい」と話している。
|
<PR>
中区・西区・南区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|