日本の蝶類研究に大きな足跡を残した英国人のヘンリー・プライアー(1850―1888)。6月10日の生誕日を祝してこのほど、プライアーを敬愛する有志らが山手の外国人墓地で墓前祭を開いた。2年後には没130年をむかえる。
この墓前祭は、中区麦田町出身の三浦清さん(61)が知人らとともに2011年から行っており、今年で6年目。三浦さんが所属する横浜郷土研究会メンバーをはじめ、横浜開港資料館元調査研究員の斎藤多喜夫さんら有志3、4人で毎年訪れている。
ヘンリー・プライアーは、仕事の関係で上海を経由し21歳の時に来日。以後、37歳で他界するまで日本で暮らした。
プライアーは保険代理店業のかたわら、昆虫や動物の研究に没頭し、1887年には大著「日本蝶類図譜」の第1分冊をまとめている。この本は、英国人の貿易商で博物学者のT・W・ブラキストンと協力して編さんした「日本産鳥類図鑑」とともに、日本動物学史上画期的な業績と評されている。またプライアーは沖縄県の県鳥である「ノグチゲラ」の発見者としても知られている。
顕著な功績を残しているが、肖像写真が残されておらず、明治初期に活躍した外国人としてあまり知られていないのが実態だ。
そのプライアーに三浦さんが興味を寄せたのは40年ほど前。19歳で研究会に入るほど郷土史に関心の深かった三浦さんは、母の葬儀で訪れた中区の寺で、偶然にも英字が刻まれたプライアーの日本墓を見つけた。
その後も折りをみては訪れていたが、2010年ごろ墓地の改修にともないその墓が撤去されたことを知った。そこでプラアーの眠る外国人墓地で墓前祭を行うことを決めた。初年は、牧師を招き讃美歌をうたい、また英国国歌を流したという。
命名から伝わる妻への思い
プライアーには事実婚の妻がいたと言われている。その証左として三浦さんはプライアーが発見した沖縄県の県鳥「ノグチゲラ」をあげた。
命名は一般的に発見者本人の名前に由来するものが多いが、あえて日本名の「ノグチ」がつく。その名が「事実婚の妻なのでは」と三浦さんは持論を語った。
17年はノグチゲラ発見130年、翌年は没130年の節目。来年も墓前祭を行う予定で、三浦さんは「プライアーの功績を多くの方に知ってもらえれば」と話している。
中区・西区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>