(公財)寿町勤労者福祉協会(徳田文男理事長)はこのほど、設立40周年の記念誌『寿のまちとともに』をまとめた。横浜の中心部の礎となった吉田新田までさかのぼり寿地区の歴史を紹介。膨大な資料と住民からのヒアリングをもとに、簡泊街から福祉のまちへと移り変わってきた同地区の姿を詳細に記している。
この記念誌はA4判で159頁(非売品)。巻頭にはカラー写真で寿地区の風景やイベント活動の様子などが紹介されている。
内容は、歴史編と資料編で構成。歴史編では、寿地区の誕生前史として江戸末期からの歩みを紹介。戦後、接収解除後の1956年に公共職業安定所が桜木町から寿町に移転したことをきっかけとして、横浜港で職を求める日雇労働者たちが集まり、簡易宿泊所が建ち並ぶようになったことなど、いわゆる「簡泊街」になった経緯を記している。
また、福祉のまちとなった現在の姿も描く。時代の変化により若い労働者が流出。また91年のバブル崩壊を契機に求人も減少する状況で同地区の住民の高齢化は進み、現在、65歳以上が51%を占め、約8割が生活保護を受給するなど、同地区の状況が客観的な数値を用いて詳述されている。
寿町勤労者福祉協会は、同地区が福祉のまちへと変化し始めた時期と同じくして、74年3月に「寿町総合労働福祉会館」(厚労省・県・横浜市などが共同で建設)の運営管理団体として設立。2014年に40周年を迎えたが、会館の建替計画(18年完成予定)があり、記念誌は今年9月の出版となった。
徳田理事長は「超高齢化した寿町は日本の将来の社会を先取りした姿」と指摘。「住民を孤立させないためにも健康・生きがい・社会参加の3つの要素を大切に、地域・民間・行政が連携して互いに助け合う社会をめざしていく。この記念誌が今後のまちづくりに生かされれば」と話している。
記念誌は、中央図書館や同会館仮設施設などで閲覧できる。詳しくは同協会【電話】045・662・0503。
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