大岡川で6月2日、水上バイクの引き波がシーカヤックやボードで立ち漕ぎするスタンドアップ・パドルサーフィン(SUP)などの非動力船に及ぼす影響の検証実験が初開催された。企画した(一社)大岡川川の駅運営委員会の伊藤哲夫理事長は、「水上オートバイを禁止にするのではなく、皆が安全に利用できる仕組みを作っていきたい」と話した。
大岡川下流域の親水施設の管理・運営などを行う大岡川川の駅運営委員会は、河川利用の活性化を受け、通航時の基本的ルールをまとめた「大岡川安全航行ガイド」を河川管理者である県横浜川崎治水事務所や横浜市などと協力して、2015年7月に制定している。
同ガイドでは、右側通航・追い越しの際の距離の確保・通過する場合に衝突する恐れがあれば互いに進路を右に変更することなどを定めているが、水上オートバイなど動力船の速度規定は明記されていない。
そのようななか、近年では複数の水上オートバイによる暴走・蛇行・騒音や静止の無視・不法係留などの迷惑行為が増加しており、対応が急務となっていた。
同実験は、そのような迷惑行為による事故の未然防止と河川の安全利用を目指し、同運営委員会が東京港・湾・河川水上オートバイ安全航行推進プロジェクト(TPSP)、横浜SUP倶楽部などと協力して開催したもの。TPSPは水上オートバイ航行マップや自主ルールの作成、安全講習会を通した優良ライダー育成などに取り組む団体で、目黒川などで安全航行の管理を行っている。
当日は大岡川の旭橋・黄金橋間にシーカヤックとカヌー・SUPを浮かべ、その横を2隻の水上バイクが時速3Km・5Km・8Km・15Kmと徐々に速度を上げながら航行。時速15Kmになるとボードに膝をついてバランスを取るSUPもあった。
引き波を受けた横浜SUP倶楽部の柿澤裕子さんは「水上オートバイが通過したあとに波がくる。壁からの返し波もあって、バランスを取るのが難しい。初心者だと時速5Kmでもしゃがんでしまうのでは」と話した。
共存が目的
実験では蛇行運転による検証も行われ、引き波で2隻のSUPが転覆し、その危険性が改めて実証された。TPSPの長谷川辰事務局長は、「最近の水上オートバイは2、3人乗りのものが増え、ハイパワー化が進んでいる。安全講習を行い、修了者にはビブスを着用してもらう仕組み作りが必要」と話した。
同運営委員会では、今後も実証実験を行い、皆が安全に河川を利用できる仕組み作りを進めていく。同運営委員会の菅原聡事務局長
は「水上オートバイ利用者や他の河川利用者の共存が目的の実験。夏前にルールを整備できれば」と話した。
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