港南区で一昨年発生した高齢者が運転する車による死亡事故をきっかけに増えつつある、高齢ドライバーの運転免許返納。西区の戸部交通安全協会(三石孝司会長)は9月から、運転免許証の自主返納者に「卒業証書」を手渡す独自の取り組みを始めた。
警察の統計では高齢ドライバーとして算入されるのは65歳以上だが、免許更新時に70歳以上は高齢者講習、75歳以上は認知機能検査を受ける必要がある。
戸部警察署によると、西区内での運転免許の自主返納は増加傾向。2015年の204件から16年は251件、17年は298件あり、今年も8月末までで210件の申請があった。
「寂しさ軽くなれば」
一口に自主返納と言っても、本人の意思で返納する場合や、家族など周囲に説得されて手放すパターンなどケースはさまざま。「永年の運転免許を返納するには一抹の寂しさがあるかと思い、その気持ちが少しでも軽くなれば」と始めたのが今回の「卒業証書」のアイデアだった。
「返納される方々が免許を取られたのはおよそ50年前。当時は今よりも免許取得が簡単でなかったはずで、ずっと持っていたいという人も多いはず」と同協会の担当者は思いを寄せる。
9月から取組みをはじめ、すでに10枚近くを発行。受け取った人からは「こんな賞状みたいなものをもらったのは初めて」「50年間、無事故無違反でした」といった自分の運転への想いを吐露する人もいたという。
卒業証書とともに渡されるのは、歩行者用の反射材。「今後は歩行者として事故に巻き込まれないようにとの思いで渡しています」と担当者。
市の交通安全協会によると、同様の取組みは市内の協会では他に例がないという。
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