空き店舗が立ち並ぶ「シャッター商店街」が全国的な課題となる中、西区の藤棚一番街で出店希望者を対象とした「街歩き空き店舗ツアー」が10月15日に開かれた。
この取組みは市経済局が昨年から民間企業に委託している「空き店舗コンサルティング事業」の一環。同事業は商業施設のプロデュースや商店街の再開発計画などを行う(株)エム・エス・シー=東京都=が実施主体となり、藤棚一番街をはじめ市内複数の商店街で行われている。
一番街ではこれまで同社が窓口となり空き店舗の内見に応じてきたが、問合せ自体はわずかなものだった。そこで今回初めて、空き店舗活用やリノベーションに興味のある人を対象に実際の空きテナントを見てもらい、すでに開業を果たした人との座談会も盛り込んだ「街歩き空き店舗ツアー」として開催。2回に分けての開催で約20人が参加した。
見学を前に、参加者はまず藤棚一番街の現状について、市平均と比べて20〜44歳の周辺住民が多いことや、来街者からの要望が高い店舗などについてレクチャーを受けた。
その後参加者は商店街内にある空き店舗5軒を見学。導線や壁の状況などを丁寧に確認する参加者も見受けられた。
見学後は今年4月、同商店街内に地域のコミュニティスペース「藤棚デパートメント」を立ち上げた永田賢一郎さんを囲み、参加者からの質問に応じた。
すでに入居交渉も
空き店舗ツアーに同席していた藤棚一番街協同組合の米山博之理事長は「街の魅力を感じていただき、私たちと共に商店街を発展させてほしい」と期待を寄せる。
物件を所有するオーナーも、商店街の活性化に寄与する人に入居してほしいと心を砕く。ある物件は約5坪と小規模ながら、将来的な売却を前提に商店会費プラスα程度の破格の料金を賃料に設定。参加者の1人で中区などで活動する劇団ウエスト♥ハウス代表の美姫ヒカル子さんは「NPOを立ち上げて『声』をテーマにした健康教室をやりたい。店舗が広いと利用者の負担増にもつながるのでこの規模がちょうど良い」と関心を示していた。
ツアー開催から2週間近くが経つが、実施主体の(株)エム・エス・シーによると、すでに2つの物件について入居に向けた条件交渉などの手続きが進められている。同社の担当者は「正直思った以上の反響で、こんなに早く話が進むとは思っていなかった。藤棚一番街さんが非常に協力的というのもあるが、今回の状況を見て関わっている市内の他商店街でも実施するか検討したい」と話した。
市経済局でも同事業を通じた出店希望者への補助金制度を設け、開業を後押ししていく。
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