4月1日付で横浜みなとみらいホールの新館長に就任した 新井 鷗子さん 東京都在住 57歳
公共ホールの「みらい」探る
○…新型コロナウイルスの影響で公演の中止・延期が相次ぐ中での就任。辛い船出となったが「非常事態の時に、どういう形で公共ホールが機能するか。新しいコンサートホールのあり方を考えるきっかけになる」と捉える。まずは改修に伴う来年からの長期休館を見据え「移動型みなとみらいホール」を提唱。最先端技術を活用し、ホールを疑似体験できる取り組みだ。「音楽をどう見せるか、発信するかがこれからの公共施設にも問われる」と語る。
○…本職はコンサート構成作家。出演者から曲順まで、公演の中身を一から作り上げる。3年に一度の「横浜音祭り」には2013年の第1回からディレクターとして関わる。横浜18区を巡って感じたのが、アマチュアの音楽活動の盛り上がり。「市民たちの活動を発表する場をたくさん作ろう」と第2回から「街に広がる音プロジェクト」と題し、市民によるストリートライブを展開。ホールへの集客にもつなげた。
○…テレビの音楽番組の構成にも多数携わる。中でも『題名のない音楽会』は20年近く担当。「テレビは2分半でチャンネルを変えられてしまう。解説の入れ方や映像の見せ方を工夫しました」。週に一度コンサート丸々1個分の番組企画を立てた経験が、分かりやすい音楽の見せ方を追求する下地になった。
○…戸籍上の本名は「おーこ」。画家の父とピアニストの母は芸術に関わりのある「鷗」の字を使いたかったが、当時は人名用漢字になく、ひらがなに。ちなみに「鷗」の訓読みはカモメ。「ホールのパイプオルガンにカモメが描かれていたり、横浜市歌の作者が森鷗外だったり。カモメに呼んでもらったのかなと勝手に思っています」とほほえんだ。
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