中区の市立立野小学校(石橋孝重校長)がこのほど、科学教育論文の全国コンテストで優秀賞に選ばれた。昨年度に続き2年連続の受賞。同校の生活科、理科教育の中で児童が主体性を持って学ぶ指導方針などが評価された。
コンテストは公益財団法人「ソニー教育財団」の主催。同財団はソニー創業者の一人である井深大さんの願いを継ぎ、子どもに科学体験プログラムを提供したり、学校への助成を行っている。
毎年、教育実践論文を全国の小中学校から募っており、今年度は全国177校が応募。審査の結果、立野小は最優秀校(2校)に次ぐ優秀校(12校)に選ばれた。市内からはほかに、井土ケ谷小=南区=も選出された。
身近な題材で興味深める
同校の受賞は昨年度に続き2回目。昨年度出た課題をもとに、同校が目指す科学が好きな子ども像として、問い続け、新しい考えを作り出すこと、自然事象に感動し見方を変えることを楽しむ『自ら行動し、よりよい未来を創り出す子ども』を学校全体的のテーマに、全学年で取り組んできた。
その中から3学年(1年、5年、6年)を論文で取り上げたところ、特に1年生が生活科で行った「通学路の探検」が科学の視点を養う取組につながったとして、大きく評価された。
毎年同校の新1年生は入学から2カ月間、教師付き添いのもとルートに分かれて下校することになっている。この時間と授業を使い、それぞれの通学路で発見した草木やつばめの巣などの自然、商店街や地域にいる人をクラスで共有。何度も探検しながら新しい発見を繰り返すことで、観察力だけでなく地域への愛着、関心を深めることを目指した。次第に「やってみたい」という子どもたちの積極性や主体性が芽生えたという。
科学的に考える
5年生は子どもが大好きなターザンロープで遊ぶことからスタートし、振り子の運動の学習につなげた。振り子が一往復する時間が、重さや長さに関係するのかという疑問をターザンロープの体験から仮説を立て、実験と考察を繰り返しながら確かめた。すると、授業の終盤に時間を忘れて振り子を見ることに没頭する児童が続出したり、自主学習で3つの公園のブランコの周期を測定し、学校で調べた数値をもとにブランコの長さを導き出した児童もいたという。
6年生は燃焼の仕組みをテーマに、瓶の中のろうそくの火の観察などを行った。空気中の酸素と二酸化炭素の割合を調べるデジタル気体チェッカーや水蒸気の割合を調べる業務用の検知管など専門的な器具を使って測るなど、数値にこだわった実験を行うことも意識した。
いずれの学年も児童たちが主体的に取り組めるように、学習の導入部分に興味を引き出す要素を取り入れ、振り返りや実験の結果だけでなく、そこに至るまでの学習過程を重視していた。
5年生の担当で今回の論文を執筆した境孝教諭は学習を振り返り「ただ見るのではなく『視点を持ってじっくり観察することの大切さ』を学ぶことができた」と成果を語る。また「積極性が芽生えたり、科学的な解決方法が浸透するなど、理科以外の授業や普段の生活の中にも良い影響が表れている」と話した。
石橋校長は、2年連続の受賞を受け「学校上げて取り組んできたものを評価していただき嬉しい。今後も子どもたちの未来のため、一つずつ蓄積しながら活動を継続していきたい」と話した。
中区・西区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>