警察官などを装い、自宅にキャッシュカードを取りに来る詐欺被害が増えている。戸部警察署など西区の4団体は犯人への威嚇と住民の防犯意識向上を目的に、玄関ドアに貼る啓発シールを初めて製作した。
「キャッシュカード手交型」と呼ばれるこれらの詐欺は、犯人が警察官や金融機関職員などを名乗り、電話で暗証番号を聞いたうえで自宅に直接カードを受け取りに来るのが手口。
犯行直後にATMで現金が引き出されてしまい、詐欺と気付いた時には多額の被害になってしまうのが特徴だ。
戸部署管内では今年に入り、過去最悪だった昨年(31件)を上回るペースで振込め詐欺被害が発生。3月28日時点での被害件数は8件。そのうちキャッシュカードをだまし取られたのは5件で、1人で複数枚渡してしまうケースも多く、現在確認されているだけで約860万円の被害が発生している。
被害が広がる中で何か対策ができないかと、戸部署生活安全課の署員が思い付いたのが、玄関に貼ってもらうシールでの啓発だった。
外側と内側の2枚1組
シールは戸部署のほか、区防犯協会、戸部地区警察官友の会、西区役所の4団体で製作したオリジナルのもの。直径8cmの丸型で、2枚一組。ドアの外側と内側に貼ってもらう。
屋外用には犯人検挙に協力する「だまされた振り作戦協力家庭」であることをアピールする文言が。警察の捜査に協力している旨を記すことで、犯人を警戒させて犯行を抑止するねらいがある。
室内用には「他人に渡さないカードとお金」の文章と防犯キャラクターが書かれており、被害に遭わない最後の砦として住民に注意を呼びかける内容となっている。
「だまされた振り」協力要請も
屋外に貼ることから雨風に強い素材を使い、これまでに3000枚を作成した。3月から配布を始めており、住宅街を中心に地域警察官が各家庭を訪問。「だまされた振り作戦」への協力を呼びかけ、応じてくれた家庭などにシールを貼ってもらっている。
戸部署ではこのほか、「『キャッシュカード預かります』は詐欺」と大きく書かれた独自のポスターも作成。病院や薬局など、高齢者が訪れやすい場所に掲示を依頼している。同署のパトカーも日中は広報車として詐欺警戒を促すアナウンスをしながらパトロールを行っている。
防犯指導を装った電話で被害者の気をひくなど、詐欺の手口は年々巧妙化している。戸部署生活安全課の長谷川正悦課長は「手交型の詐欺を知らない方も多い。被害に遭わないためには、キャッシュカードは絶対に他人に渡さず、暗証番号も教えないことが大事。シールをドアに貼ってもらうことで犯人を近づけず、住民が冷静になって詐欺に気付くツールになれば」と話した。
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