昨年9月に国の重要文化財に指定された帆船日本丸が2018年度と19年度にかけて大規模改修することが決まった。改修費を市民や企業から募ろうと6月13日、保存活用を促進する委員会が発足。委員会では戦前期造船の文化的価値の高い船体を保存し、インナーハーバーの観光・MICEの振興にもつなげたいとしている。
発足した「帆船日本丸保存活用促進委員会」は、船体の保存活用に賛同する団体などの関係者15人で構成。委員長には横浜商工会議所の上野孝会頭が就任した。副委員長には日本船主協会の武藤光一会長と横浜観光コンベンション・ビューローの布留川信行理事長、帆船日本丸記念財団(委員会事務局)の金近忠彦会長の3人が就いた。
13日の委員会設立総会には上野会頭をはじめ日本丸の所有者である横浜市の平原敏英副市長らが出席。上野会頭は「青少年への海洋教育としての活用やインナーハーバーの観光・MICEの拠点とすべく、商工会議所としても支援していきたい」と話し、改修費の寄附に協力を求めた。
改修は国からの補助金を活用し、ひび割れたヤード(帆桁)の交換や木甲板の張替え、鋼板などの腐食部分の修繕などを2年かけて実施する。事業費は約6億円を見込み、委員会ではそのうち3千万円を市民や企業から募りたいとしている。
1930年造の日本丸は、長年にわたる船員訓練船としての役目を終えたのちに、全国各地から誘致を受けるなか、83年に横浜市への引き渡しが決まった。当時は経済団体や海事、港湾などの関係25団体が「誘致保存促進会」をつくり、83万人もの署名を集め、市民・企業が一丸となり誘致を実現した経緯がある。
今回の改修費募集も当時にならい、広く市民や企業に協力を求めるため、委員会を立ち上げることになった。
海事思想普及の役割も
現在、日本丸は、現役当時の姿を維持するための「保存」、船内公開やボランティアによる総帆展帆などの「公開」、小中学生向けの「青少年錬成」の3事業を通して、海事思想普及の役割を担っている。
昨年9月に、船員養成の功績や海運事業発展への貢献、現存する戦前期建造船としての文化的価値などが評価され、海上保存の帆船では初の重要文化財に指定された。改修費寄附については帆船日本丸記念財団【電話】045・221・0280へ。
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