震災への備えなどを定めた「南区防災計画」が全面的に見直され、6年ぶりに改訂された。区や区民の震災対応に関する役割を明文化したほか、東日本大震災の教訓から帰宅困難者や津波対策が追加された。6月から運用が始まっており、南区役所では自治会・町内会を通して新しい計画を区民に伝えている。
防災計画は、震災への備えや災害時の対応を定めたもの。市内では各区で計画が立てられている。東日本大震災の被害を踏まえ、市は防災計画の震災対策編の全面的な改訂を3月に実施。被害想定の見直しなどが行われた。
南区では昨年11月から区計画の改訂に着手。区と消防、水道、土木など、関係部署による専門チームを作り、作業を進めてきた。消防団や電気、ガスといった民間ライフライン事業者の意見も聞き、市の動きを待って区計画も改訂した。
計画に記された被害想定では、南区は元禄型関東地震の場合、最大震度7の可能性がある。揺れによる建物の全壊と半壊が1万2667棟とされ、市内18区で最も多い。火災による焼失は1万1795棟で市内2番目に多い想定。津波の死者想定は1人で、津波よりも建物の倒壊や火災を警戒すべきとされている。
区民の役割明文化
計画では、行政(区役所)、区民、事業者の責務や役割が初めて明文化された。区役所は防災対策を講じることが責務とされ、区民は「自助」としての備蓄や訓練と「共助」として、地域の助け合いを大切にすることが責務とされた。事業者は防災体制の整備が役割で、3者が役割を果たすことで、震災の被害を小さくすることを目的にしている。
震度5強で拠点開設
地震により自宅で生活ができなくなった場合に避難する地域防災拠点は、これまで、地域住民らの運営委員会が開設の判断をしていた。改訂された計画では、市内1カ所以上で震度5強以上の地震が起きた場合は、すべての地域防災拠点を開設するよう、市内で統一の基準を設けた。
震災で電車などが動かなくなり、帰宅できない人に対し、公会堂など4カ所を一時滞在施設に定めたことも新たに加わった。
区ではこの計画を区民に浸透させるため、自治会・町内会を通してA4判66ページの計画を10ページにまとめた概要版を区民に配布。計画の全文は区ホームページでも公表している。このタイミングに合わせ、市が作成した地震対策パンフレットが各戸に配布されていることから、区総務課では「計画と地震対策を合わせて知ってほしい」と呼びかけている。
南区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|