神奈川県俳句連盟の会長に就任し、俳句の普及に尽力する 渡辺 長之助さん 共進町在住 80歳
感謝とユーモアを大切に
○…自身が約5年前から会長を務める「横浜市南俳句協会」をはじめ、県内で22団体が所属する俳句連盟の会長に、2月26日付けで就任。毎年、数百人が参加して優れた句を発表する「県民俳句大会」などを通じ、伝統文化の普及に尽力する。「俳句は難しいと思われがち。『頭の体操』として、誰もが気軽に楽しめることを伝えたい」と、優しい表情を浮かべる。
○…生まれも育ちも共進町。戦争が激化した小学生のころ、学童疎開で一度は地元を離れたが、終戦後に戻り、蒔田小を卒業した。俳句に興味を持ったのは中高生の時。近所の男性が見せてくれた俳句雑誌「ホトトギス」に心を打たれた。「友人と一緒に江の島に行って、一丁前に句を作った」と笑う。理工系の大学を卒業後、プラント設計者として全国の下水処理場の設計などを担当。高度経済成長の最中、躍進する日本を縦横無尽に飛び回った。「働き盛りのころは俳句のことを考える余裕はなかった」と”仕事人”として汗を流した現役当時を懐かしむ。
○…時間に余裕ができ始めた50代のころ、青春時代を思い返して「句作り」を再開。まちの俳句教室に参加したところ、地元団体「花野俳句会」の代表者に刺激を受け、60歳で同会に入門した。「家庭的で親しみやすく、柔らかい人」というその恩師から技法を学び、昨年、同会代表を受け継ぐ。「難しい言葉は極力使わず、平易な表現で句を作っている」のは、師に向けた感謝の気持ちの表れなのかも知れない。
○…「仕事ばかりで地域に貢献してこなかったから」と、60代で始めたのがアマチュア手品師として人を楽しませるボランティア。蒔田地区の「ふれあいフェスタ」などに出演し、子どもたちの笑いを誘っている。正月には、集まった7人の孫の前で手品を披露。「笑っている姿がかわいくて」とほほ笑む。そのユーモアと意外性で、人々の心に刻まれる句を伝え続ける。
|
|
|
|
|
|