南警察署管内で今年1月から8月末までに発生した振り込め詐欺の被害件数が25件で県内最多であることが分かった。南署は「南区民が狙われている」と記した啓発チラシを作成。地域組織・団体と連携した独自の被害防止策を進め、区民に警戒を促している。
25件、7千万円
今年8月31日までに南署管内で発生した振り込め詐欺は26件(未遂1件含む)で、昨年同時期(29件)より3件減少したものの、未遂を除いた被害件数25件は県内最多となった。
被害総額は約7100万円で、昨年1年間の被害総額8600万円に迫る勢いで増え続けており、平均被害額は約280万円。被害額が大きくなっており、1件の最大被害額は1千万円に及ぶ。
詐欺被害のうち、息子や孫を装うオレオレ詐欺が20件と最多で、すべてが現金の「手渡し」による被害。「金が入ったかばんを置き忘れてしまった」などの口実で代理人を送り、現金を奪っていく手口が多い。
南区で被害が増える理由について、南署生活安全課は被害に遭いやすい60歳以上の人が多く居住することをあげており「(犯人から)集中的に狙われている可能性がある」と指摘する。
薬局と連携
南署は「県内最多」の緊急事態に独自対策を強めている。8月下旬からは緊急特殊詐欺対策として、「南区民が狙われている」と区内で被害が頻発していることを記した啓発チラシを作成。人が多く集まる商店街や交差点、駅などで署員らが配布を始めたほか、被害が多い地区ではポスティングを行っている。
また、区内約70の調剤薬局に協力を呼びかけ、薬を手渡す際にチラシ配布と注意喚起を依頼。南区薬剤師会の川田哲会長は「(犯人は)医療費の支払いを要求することもある。薬局は高齢の方の利用が多いので協力できたら」と窓口での呼びかけを強化したいという。
”撃退電話”設置サービス
同課は、犯行はいずれも犯人からの電話で始まることなどから、電話の相手に会話が録音されていることを知らせる機能が付いた”撃退電話”の導入を強く訴えている。今夏には、南防犯協会が撃退電話の設置・登録法などを説明する無償サービスを始めた。同課は、「『私はだまされない』と思わず、自分や家族が被害に遭う可能性があると常に思ってほしい」とし、今後も地域団体・組織との連携を強めながら、被害防止に向けた対策を強化し、警戒を促していく。
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