井土ヶ谷下町の向洋電機土木の社員で厚生労働大臣表彰を受賞した 横澤 昌典さん 蒔田町在住 43歳
困難を乗り越える好奇心
○…社内で取り組んできた在宅勤務などのテレワークに関する制度作りが評価されての受賞。「国から認められたと思う。今まで自分がやってきたことが正しかったと証明された」。従業員30人足らずの中小企業の社員が日本を代表するような大企業と同じ表彰を受けたことを誇りに感じる。
○…上大岡で生まれ育つ。幼稚園のころから読書に没頭。好奇心旺盛で「人が知っていて自分が知らないことが悔しかった」と一日中書店で立ち読みをしていたこともある。大手商社勤務時代の11年前、父親ががんに。介護のため、仕事を終えて、静岡県の職場から車で片道260Km離れた横浜へ向かう日々が続いた。しかし、会社の理解がなく、制度としてある介護休暇すら認めてくれなかった。その後、母親の体調も悪化。「このままでは家族がダメになる」と退職を決意。知人の紹介で2007年に現在の会社に入った。
○…今度の会社は介護の事情を分かってくれた。ただ、電気設備は素人。自分の経験をこの業界でも活かそうと、外部でパソコンを使って書類などを作成できるシステムや育児、介護をしている社員は、短時間の外出なら手続きを不要にするなどの仕組みを構築。ほかにも、給与増につながる資格取得を積極的に進めた。当初は新制度になじめない社員もいたが「制度の意味を伝え、将来につながることを理解してもらった」と得意の話術と交渉力を発揮し、社内に浸透させた。
○…妻、母と介護を続ける。今の一番の楽しみは6歳の娘と遊ぶこと。「パソコンを分解していたら、娘が『この部品は何のためにあるの』と。何でも知りたがるところは親に似たのかも」と白い歯を見せる。活動が知られ、最近では企業や自治体での講演も増えた。そのため肩書きは”広報部長”。「広報以外も何でもやります」と豪快に笑う。中小企業にもテレワークを広めようと、尽きない好奇心で社会を変えていく。
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