六ツ川地区連合自治会の住民が農作業を通じて高齢者らが外に出やすい環境を作れるように取り組む「六ツ川野外サロン」がこのほど、「第8回横浜・人・まち・デザイン賞」を受賞した。南区内での受賞は2002年の弘明寺商店街以来2例目。同サロンは朝市や肥料作りにも取り組み、住民が地域活動に興味を持つきっかけを生み出したことなどが評価された。
同表彰は魅力あるまちづくり推進を目的に市が隔年で実施。まちづくりで功績のあった団体を顕彰する「地域まちづくり部門」と、都市景観を創造した建築物などを表彰する「まちなみ景観部門」があり、六ツ川が選出された「まちづくり」では6団体が表彰された。
野外サロンは11年、地域の高齢者世帯の見守り活動に力を入れようと始まった。独居の人などが外に出たくなるような仕掛けを行うことで交流を図り、隣近所の見守りと、家にこもりがちな高齢者にとっての”やりがい”を創出しようとした。
当時、同地区連合自治会会長を務めた東梅良成さん(79)が別所7丁目にある約140坪の市有地を見つけ「団塊の世代には”土いじり”をしたい人が多いのではないか。ここで畑ができたらサロンになる」と考えたという。
自治会で土地を借り、約10人のメンバーでサロンがスタート。毎週月曜日の2時間、ダイコンやジャガイモなどの野菜を育て、作業後は菓子やお茶を囲んで交流を図った。
男性参加者が増
12年からは育てた野菜を販売する「朝市サロン」を開始。農作業は体力が必要なこともあり、子どもの頃に体験していた男性が昔を懐かしむように参加するようになった。子どもや親が参加するジャガイモの収穫祭なども実施。活動資金は朝市の売り上げのほか、まちづくりを支援する区や区社協からの補助金が支えになった。
現在は約40人が活動。創設から昨年までの約5年間、サロンの代表を務めた宮部洋介さん(78)は「自分が所属する町内会がどこかを知らなかった人もいたが、サロンで外に出て、地域活動に興味を持ってくれた」と喜ぶ。活動をきっかけに、今では地区内の自治会長や青少年指導員として活躍する住民もいるという。
小学校で畑作り
生ごみを堆肥化する取り組みにも着手。別所小、六つ川小の協力で給食の食べ残しを利用した肥料を作り、サロンの農作業に役立てたほか、14年からは六つ川小の校内畑でメンバーらが小学生に農作業を指導。子どもが「土」に触れる機会を提供し、食育にもつなげた。近年はまちづくり活動に興味がある南区以外の人も見学に訪れる。
5月12日には、西区の市長公舎で表彰式が行われ、東梅さんと宮部さんが出席。東梅さんは「土で人がつながり、『担い手』の発掘もできた」と話し、宮部さんは「今後も続けていくことが目標。子どもも集まるジャガイモの収穫祭を六ツ川地区の夏の風物詩にしたい」と展望を語った。
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