大岡4丁目の住宅街に7月、アートギャラリーにカフェが併設された「OASIS」(オアシス)がオープンした。横浜スカーフなど、繊維染色の製版業の工場を改装し、そこで働いていた男性がその技術と知識を用いて描いた世界遺産の建物やフランスの風景などの作品が展示されている。ギャラリー側は、「海外旅行に行ったような気分で癒されてほしい」と来場を呼び掛けている。
染物製版から転換
この場所は、横浜の地場産業として知られるスカーフやネクタイなどの染物の原版を作る株式会社日進感光が事務所兼工場として使用していた。同社は1957年に創業。
創業者の息子で同社で働いていた吉野寛(かん)さんが97年、27歳の時に「音楽を聴いている時に、突然インスピレーションを受けた」と作品を描き始めた。製版業の仕事柄、デザインの知識はあったものの、それまで絵画に取り組むことはなく、沸き上がったイメージをそのまま表現してきた。
2001年にはドイツの街を描いた作品が市内最大の公募展「ハマ展」で入選。03年、パリで初の個展を開き、翌年にはフランス官展で入選するなど、欧州で評価を受けた。ほかにも、06年にモナコの国主催の芸術賞で名誉賞を受賞している。
「日本のゴッホ」
「OASIS」は工場を3年間かけて改装して完成した。1階がギャラリーで吉野さんがアクリル絵の具を使った作品が展示されている。ゴッホが描いた「オヴェールの教会」と同じ場所を描いた作品はフランスで「ジャパニーズ・ゴッホ」と称されたという。ほかにも、数々の世界遺産を点描画で描いたものなど約10点が展示されている。吉野さんは「絵を通じて、全ての物に対する気持ちを心の奥底に持てれば幸いです」と話し、姉でOASISを運営する安藤千万里さんは「絵を見るだけで海外旅行に行ったような気分になって、疲れた心と精神をリセットしてほしい」と話す。
地中海をイメージ
2階のカフェでは、コーヒーやケーキが楽しめ、吉野さんが食器や壁の色など、細部にこだわり、イタリア地中海のアマルフィをイメージした。
住宅街のギャラリーだが、オープン前に近隣住民向けに開いた内覧会でも好評だったという。
癒しの空間に
安藤さんは「今後はオリジナルグッズの販売やギャラリーの貸し出しも考えたい」とスカーフ製版業で培った経験を生かし、OASISを文字通りの「癒しの空間」にしたいと願っている。
場所は大岡4の21の2(藤の木小学校そば)。ギャラリーの入場料は高校生以上500円、小中学生300円。月、火曜日休館。営業は午前10時30分から午後6時まで。問い合わせは【電話】045・714・1388。サイト(https://kan-oasis.com/)に詳細。
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