▼猛暑だった8月が終わり、9月に入ってやって来た台風、地震は大阪、北海道を中心に多大な被害をもたらした。特に台風21号は、その強風が関東地方にまで及び、南区でも工事現場の足場が崩れる事故があった。幸い、人的被害はなかったが、防災月間である9月に起きたこれらの出来事から、改めて自然災害の脅威を思い知らされた。
▼東日本大震災以降、人々の防災に対する意識は高まったと言える。南区で今年5月から6月にかけて連合町内会ごとに行われた地域の課題を話し合う「地区懇談会」のテーマも16地区中10地区が防災に関係するものだった。自治会町内会が取り組む防災対策の工夫点などが紹介され、災害時の「自助」「共助」のヒントが多く出された。しかし、災害と言っても地震、津波、火災、建物や塀の倒壊、豪雨、崖崩れ――とさまざまで、住む場所によって災害発生の可能性は異なる。そのことを意識しなければ、本当の防災対策は進まない。
▼南区全体で考えるべきなのは、木造住宅密集地と崖が多いことだ。吉田新田の区域や三春台、平楽の丘には住宅が密集した地域が多い。地震による家屋の倒壊、火災の延焼拡大が懸念される。また、大雨による「土砂災害警戒情報」の発表と同時に避難勧告が発令される急傾斜地の対象区域は、清水ヶ丘や永田北の一部など、区内に16あり、区域数は市内最多。まずは自分が住んでいる地域がどのような場所にあり、どんな危険、災害の可能性が潜んでいるのかを確認することが必要だろう。
▼今回の地震や台風の印象から、防災対策として水や食糧などの備蓄を考えたくなる。もちろん、それは必要だが、家が倒壊したり、家具の転倒でけがをしない、命を落とさないための対策が先決だ。市や南区では以前から住宅耐震工事や家具転倒防止器具の設置補助を行っている。災害を「自分ごと」とし、一人ひとりが主体的に防災対策に向き合わなければ、各地で行われている地域防災拠点や自治会町内会の訓練は形だけのものになってしまう。大阪や北海道の被害を教訓にしたい。
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