本来食べられるにもかかわらず廃棄されてしまう「食品ロス」が社会問題となっている中、横浜市は飲食店などで残った商品を必要な人に紹介・案内することにより廃棄を減少させる「フードシェアリング」アプリを使った取り組みを開始した。
市内の家庭から出される燃やすごみの中には、年間で約10万5千トンもの食品ロスが含まれており、市民1人当たり年間約28kg、金額に換算すると約2万2千円分の食品が捨てられていることになる。
市は家庭での食品ロス削減を呼び掛ける施策展開に加え、小盛りメニューや持ち帰りなどに対応している飲食店を認定する「食べきり協力店」事業を2012年度からスタート。これまで職員が行きつけの飲食店などに呼び掛ける地道な活動を続け拡大を図ってきた。7月末時点で南区内の70店を含み、市内約850店が事業に賛同しているが、ここ数年は新規登録店数が伸び悩んでいた。
見切り品を売買
現況打開を狙い始まった今回の取り組みは、スーパーマーケットで値引き品を購入するようなイメージだ。外食・中食事業者向けに売れ残りや廃棄予定の食品と買い手(食べ手)をつなぐフードシェアリングプラットホームを手掛ける(株)コークッキング=本社・東京都=からの提案を受ける形で連携協定を締結。外食時における食品ロス削減と市民意識向上に向けた取り組みを展開する。
同社が運営するフードシェアリングサービス「TABETE」へ参加する店舗は営業終了間際で売れ残りそうな商品など、廃棄処分となりそうな商品をアプリ上に出品。市民は希望する商品が見つかれば、店舗で代金を支払い商品を引き取ることができ、食品ロスの削減につながることになる。
パンが4割引き
現在、「TABETE」の市内の登録店数は10数店。あるパン店は7月下旬、850円相当のパンをセットにして500円で出品した。同店は「調整しながらパンを焼いているが、それでも余ってしまうことがある。焼いたその日に食べてほしい」と理由を説明していた。
クリスマスケーキや節分の恵方巻きがスーパーなどで大量に廃棄処分されていることが報じられて問題となったことで、食品ロスを削減する機運が高まっている。市資源循環局の担当者は「食品ロスに対する意識が高まっており、アプリの導入で市内の『もったいない』を少しでも減らすことができれば」と話している。
別のパン店の店主は「便利だと思うが、購入者とうまく連絡が取れない場合などの不安がある」と話していた。
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