神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS
南区版 公開:2020年4月2日 エリアトップへ

南消防団が発足10年 団員増で大臣感謝状も

社会

公開:2020年4月2日

  • LINE
  • hatena
感謝状を手にする前団長の涌井さん(中央)と有賀さん(左)、山田光明さん
感謝状を手にする前団長の涌井さん(中央)と有賀さん(左)、山田光明さん

 南消防団が4月1日、発足から10年を迎えた。2010年に寿、大岡の両消防団が統合して誕生。統合前後は歴史のある組織を一本化することに腐心し、団員が減少する危機もあったが、最近では事業所や女性への呼び掛けを強化し、定数100%を達成するなど、増加傾向。3月には団員増加が顕著で、地域防災力の向上に寄与したとして、総務大臣から感謝状が贈られた。同団は「10年を節目にさらに発展したい」と意気込んでいる。

 南消防団の前身である寿消防団は1922年に「寿消防組」として、大岡消防団は39年に「大岡警防団」として発足。48年に市の機関として寿消防団、大岡消防団として組織された。主に南区の東部を寿、西部を大岡が受け持っていたが、指揮命令系統の一本化など、大規模災害時に素早く対応できることを目的に2010年4月に統合し、南消防団が発足した。

 統合へ向けては両団幹部が4年間をかけて話し合いを重ねた。それぞれの団に歴史や風土があり、統合は容易ではなかったという。3月末で定年により退団した前団長の涌井正夫さんは「発足当初は、旧寿と大岡の団員の交流も少なく、壁があった」と当時を振り返る。

充足率低下を克服

 発足時の団員は325人で定員の395人に対する充足率は82%。定年者の増加が続き、12年4月には充足率が6割台に低下。定員を100人以上割り込む深刻な状況となり、市内20団で充足率が最下位の時期もあった。団員の減少で思うように訓練が行えないこともあり、当時副団長だった涌井さんは「全団員に増員への意識を持たせるようにした」という。団員は区外企業に勤める会社員が多く、手薄だった区内事業所の従業員の勧誘に力を入れた。涌井さんは「人口が減り、会社員の団員は日中、区内におらず、昼間の災害のことを考えると、事業所の団員は重要」と語る。

 さらに、15年には女性団員が「声楽隊」を結成。イベントで歌声を披露することで、団や団員への親しみやすさをアピールしたほか、女性団員の獲得にもつながった。現在は団員の約2割を占めている。団員増加とともに、旧組織の壁はなくなっていった。

 18年11月に定数の395人に初めて到達。以降も退団者が出てもすぐに入団者が現れ、入団待ちの人がいる状況が続く。昨年8月には、初の高校生団員が誕生。同時に区内の高校に出向き、活動を説明する機会も作っている。4月1日から団のトップを務める有賀和彦団長は「在校中に入団しなくとも、消防団に関心を持ってもらえば、将来につながる」という。

事業所・学生獲得に注力

 18年4月から19年4月に49人の団員が増えた。この功績が認められ、3月に総務大臣から感謝状が贈られた。全国約2200消防団の中から団員増加が顕著な43団だけが選ばれたもの。団員増加に取り組んできた涌井さんは「(充足率100%は)数年前には考えられない状況。これを維持できるようにしてほしい」と後進へ礎を築いた。

維持へ新人育成

 今後の課題は充足率の維持と活動歴の浅い団員の育成。「消防団協力事業所」の一つでこれまで11人の団員を送っていた横浜南郵便局は、4月の人事異動によって数人が退団したが、後任者が入団することで人数は維持される。涌井さんは「事業所に顔を出して、関係をつないでいくことが大切」とアドバイスする。

 新入団員の会社員や学生も参加しやすい時間に訓練を行うなど、地区ごとに分かれる6つの分団が工夫を重ねているという。有賀団長は「幹部と新入団員の間をつなぐ人材が不足している。さまざまな訓練を経験してもらうなどして教育していきたい」と話す。

 数十年前は消防団が火災現場で消火活動に加わることもあったが、現在は消防署の隊員の支援や地域への防災知識の普及・啓発などに役割が変化しつつある。まつりなどの町内会行事に協力を求められることも増え、あらゆる場面で地域を支える存在になっている。有賀団長は「町内会や消防署と連携して、活動を活発にしたい」と発足10年を節目に新たなスタートを切る。

女性団員による「声楽隊」
女性団員による「声楽隊」

南区版のトップニュース最新6

蒔田公園 久々に活気

みなみ桜まつり

蒔田公園 久々に活気

5年ぶり、踊りの花咲く

3月28日

防災学び 地域に伝える

蒔田中2年生

防災学び 地域に伝える

災害への備えなど発表

3月28日

森の保全団体に寄付

太田小6年生

森の保全団体に寄付

三浦での環境学習契機に

3月21日

蒔田公園 5年ぶり大舞台

みなみ桜まつり

蒔田公園 5年ぶり大舞台

23、24日 模擬店やステージ

3月21日

福祉避難所 課題浮き彫り

福祉避難所 課題浮き彫り

火防協研修で図上訓練

3月14日

子育て手続き スマホで

横浜市

子育て手続き スマホで

6月末、アプリ配信へ

3月14日

あっとほーむデスク

  • 3月28日0:00更新

  • 3月14日0:00更新

  • 3月7日0:00更新

南区版のあっとほーむデスク一覧へ

バックナンバー最新号:2024年3月28日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

Twitter

Facebook